「バジャー2-2、スパイク!!」
FCR警報は直ぐにミサイルアラートへ代わり、RWR画面の右側、「LAUNCH」のランプが赤々と点滅する。
「2-2、ディフェンディングイースト」
操縦桿を右へ倒し、キャノピーが海を映し出したところで引く。
警報は鐘のように、MONOの頭を揺さぶる。迫り来る死の感覚は、そう真新しいものでもなかった。
あらかじめ設定していた等間隔でチャフが射出される。形成されたカーテンはベールのように空を分け、敵のミサイルを混乱させる。
『2-1、ピットブル。クランクイースト』
2つの機影がペルシャ湾へホルムズ海峡へ向けて高度を下げていく。
2-1はMFDを凝視していた。10秒、15秒。
レーダー画面の反応表示が、やがて消失した。
『2-1、スプラッシュワンバンディット』
敵が我武者羅に放ったミサイルもあっけなく空に消え、MONOの思考を支配していた死への鐘も鳴り止んだ。
『マジック、バジャー2-1、リクエストボギードープ』
1番機がもう一度、AWACSへ脅威の確認を要請する。彼の声には喜びが滲んでおり、無線機のノイズ越しにもわかるほどだった。
『マジックよりバジャー2-1、ピクチャークリア。SEADを担当するレナード4-4が無線に入る』
AWACSからの通信を終えると、回線に一瞬ノイズが走り、聞き慣れない声が飛び込んできた。その間もMONOはMFDを凝視し、編隊長と後続の話に耳を傾ける。
『バジャー2-1、こちらレナード4-1。脅威はあるか?』
『2-1、ノーファクター。食えるだけAAを食ってくれ。グッドハント』
『了解バジャー。4-1アウト』
朝陽が、白い機体をゼニスブルーに映えさせる。
RWRは静けさを取り戻し、戦術マップはリンク16からの状況更新を絶えず続けている。
『MONO、9時方向を見てみろ』
指示とは言えないほど柔らかな命令に従い、重い首を回す。JHCMSが2つのアイコンを示した。[15]、そう書かれたアイコンが猛スピードで追い抜いていく。
上陸作戦は始まっている。