かとかの記憶

富野由悠季 周回 / 137

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katka_yg 2025/04/17 (木) 23:15:34 修正

『ガーゼィの翼』いま1巻までだけど、わたしは既読だから先の展開はあらかた憶えている。1巻ですでに、「人殺しをしたこと」をクリスが思い出し、そのことを意識的に意識すまいとして意識から追いやるところが、ちらっと出てくる。

バイストン・ウェル物語には迫水・ジョク・クリスと続けて恒例の「通過儀礼」があるが、クリスの場合なぜかかなり後の章になる。今だったらその意味を考えてもよさそうなことだ。
このまえ、『アベニール』のスペース・ミュージアムで紛糾したヴァーチャル殺人ゲームの話があったが、そのときも触れたように富野由悠季は「戦争だから殺人じゃない」のような言いには自作の中でも必ず触れる、簡単に素通りはしていないし、それは古い。

「これはゲームですか!? ごっこじゃあないでしょう? エレクトロゲームで得点あげて、千点を超えるのを競争するゲームじゃあないんですよ! 一人が一点ですか、二点ですか!? ララァが可哀想ですよ!」

その一方でその劇中殺人を飽きずにドラマにしてそれをキャリアにしているし、さらに、本人の後にも続く多数のフォロワーはそんな罪悪感や贖罪観はもたなくても同じドラマは作れる。人を殺して罪に悩むヒーロー像は使い古しのお約束なのが90年代頃だ。

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    katka_yg 2025/04/17 (木) 23:17:44 修正 >> 137

    コモン界でも『リーンの翼』のヘリコンと『オーラバトラー戦記』のユーロ地域は互いに地理的に繋がっていないようで、歴史も共有していない。ファン間では、それらはお互いに「パラレル世界」のようにおおむね説明されるが、後者のAB戦記中にもリーンの翼の伝説は伝わっている節がある。もっとも、作中であんまり大事なところじゃない。

    『ガーゼィの翼』のヨーロゥ大陸にはまた、上の二作品でのできごとは全く伝わってはなく、ウォ・ランドンとか空の燐光などの大枠は共有している。ガーゼィの翼の聖戦士はやはり、来てまた去ることが語り伝えられている。伝説とはなにかを考えられるか…

    リュクス姫は世界をまたいで大事な経験はしたけど基本的にコモン人で、地上世界の現代日本や地球のことは、科学技術とか社会構造の皮相を知っただけで、その歴史のなんたるかの根本はなにも理解はしないで帰っただろう。「これから僕らは考えねば」と思い知るエイサップ以上の歴史観を、リュクスが確立できたはずがない。年取って、彼女なりの理解と解釈をまじえて文章に記述したら、「リーンの翼の聖戦士」の昔からある伝説と大差ない本文になったので少し微笑んだ、かもしれない。

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    贖罪観についてはやはりヘイヤーガンを読み合わせてみるといいな。悪くないじゃないかガーゼィ!! 通読が実になってきたぜ。