クロノクル追記
クロノクルについては、今回読み直したのでは少年時代のヤクザ気分と、その上に薄く被っている現在の実直さ……のほうだった。クロノクルはむしろ「若者らしい野心に乏しいこと」が弱みのようで、傲慢さよりは端々で気の良い普通さが出る。
ただし、クロノクルがベスパ士官として実直な仕事をするようになったといって性根が誠実な人かというと、本人が誠実に振る舞おうとしても不自然すぎる地位のせいで、客観的には誠実な行為の示し方になってない、カテジナにも「これはお妾さん扱い」と見透かされていた。そういう弱みは読者によっては駄目が入るかもしれないが、カテジナはでもその彼が嫌いではないみたいな、コミカルな描かれ方だ、と。
そもそも――またシオ文学観の話だが――愛情はロマンチックな情熱だけではない、男女の打算でくっついたり、お互いに傷の舐めあいでやってる自覚でいながら切れずにダラダラ続けてしまうこともある。クロカテは思いっきり自己満足と慰め合いでしかないが、「愛は育てるもの」と思えば、どんな不自然な結びつきにも未来にそう思える芽はある。だからコミカルに(可愛らしく)見えるのかもしれない。
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カテジナ目線でクロノクルがどういう青年に見えているかは想像できるけど、「女王の弟」(リアル王子様)という要素はそこに入ってない。クロノクルは感心なことに自分で言ってないし、後では知ったろうがもともとその打算はない…。
一方でカテジナが知ってるクロノクルは、それも現在の彼の社会的なポーズで、彼の少年時代までは知らない。白いガンダムの地球以来の経緯が結びついて一挙に憎悪が噴出してるクロノクルのスラム街メンタルはカテジナにはわかってない。クロノクルの生い立ちの要素はやはり小説版かぎりで、アニメに反映して語れず惜しい。
――どいつもこいつも寄ってたかって俺のことを踏みつけにしやがる。それだけがこの街の全てだ
そういう思いがずっと染み付いてるだろうのがウーイッグのお嬢さんに埋められるかな……お嬢さんはお嬢さんだろう。