かとかの記憶

富野由悠季 周回 / 79

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シャクティ流のこだわり

シャクティ語のその後の展開は、5巻になると、月面都市に降る雪についてシャクティ独自のこだわりを見せる。「こんなの雪じゃないわ」と呟くところ、雪については彼女に一くさりの蘊蓄と、こだわりがある。

 カサレリアにも、数年に一度は大雪もあって面倒なものなのだが、種もみを強くするためには、寒さは必要なのだ。

これは事実。シャクティのこだわり処は、

 土が寒さでかたまって滋養をため、春のあたたかさで、土がこなれてくれると、植物のための床(とこ)ができて、芯のしっかりした野菜を手にいれられる。
 そんなふうに想像するのは、シャクティの得意なことだ。
 そのような物語がえがけないイミテーションの雪などは、ナンセンスなのだ。
 こんなことでは、人の心はふるえない、とシャクティはおもう。

「雪」というより、「物語」にシャクティの押したいポイントがあるようにも思える。人工の雪は軽いのよ、軽い物語しか語れないのよ、雪ってもっと物語るものだし、雪が降って震えるのは、体ではなく心なのよと思ってるようでもある。

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    katka_yg 2025/04/01 (火) 00:27:38 修正 >> 79

    スペースコロニーの雪はスペースコロニーの畑と無縁だしね。コロニーの農作物は農業コアのようなところで集約生産される。『F91』の牛乳の話題のように、なんとか人手を入れようという理念はあるが、自然と人のかかわりを語らせればあらかじめ作り事にはなってしまう。でもシャクティもまたそれはすこし厳しいと思うよ。Gレコのように下れば、宇宙には宇宙の夢も物語もあると言いたいと思う。

    自然との関わりで築かれる人の規範、というようなまとめになるな……。上で「行動規範」について言葉だけ掠めたので参照しておく。先々に、「宇宙にある海の夢」のような言い方を聴くとき、こういう箇所を憶えていると印象が違うだろう。