太古のことばは人間が使う場合は真実しか語れないものだが、竜の場合はちがう。このことばはもともと竜のことばで、嘘をつくのも自由自在。本来の意味を曲げて使うのも可能で、うっかり耳でも傾けようものなら、向こうはたちまちことばの魔術を使い、真実を語っているように見せかけて、そのじつ、中味は空だった、というように、いくらでも悪用できる。
通読では、これは前回の「シングは心話(テレパシー)で嘘をつくことができる」というのに、いかにも似ている。人間には、心と心の交感では真実しか伝えられない。
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七章「ハヤブサは飛ぶ」のカモメの最期のところは、今読むと他に連想するものがある。わたしは、この三月頃にハイネを読み返していたがその『精霊物語』に引用されている白鳥の乙女アーデルツの話の顛末に、似てるといえば印象が似ている。思い出すようだ。それは古代デンマークとあるけど……男女も逆だけど。とくにそれが直接の発想元だろうということではなくて、こういう型はあるよね、という。
『影との戦い』読了。今これ読んでいるのは2009年の少年文庫版。旧い版とは処々だいぶ変更修正があるようだ、それはアースシー以外の諸々も、新装再刊の機会に修正とたびたび書いてあるから今後もそうだろう……電子で追い直せば最新に近くなると思うが、わたしは次回からは英語の原文にする。このさき、どうせもう一回は周りそうだから、そのときはまた。
この作中の「イフィッシュ島」というのはコロニー落としに使われそうな島の名前だ。そんなことは読者は誰でも思うだろうし、わたしも読み返せばそのつど思っているかもしれない。「タオン風の竪琴」というタオンは、アースシーの地図ではハブナーより北、エンレイド諸島のちょっと東にある島だが、わたしは最近タオンのハヴォル君の名前を見ててなんとなく連想していた。つづき、つぎは『闇の左手』。