かとかの記憶

神林長平 周回 / 12

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 こうして巨大なジャムの前進基地は破滅した――と零は雪風の機上できかされた。さて、これからだぞ、零は思った。ほんとうに壊滅したかどうかあやしいものだ、地下深く隠れているかもしれないし、第一、ジャムの基地はそこだけではない。当然報復してくるだろう。

これは『雪風』旧版の文庫からだが、「破滅した」のところは〈改〉では「壊滅した」になっている。すぐあとに零が「ほんとうに壊滅したかどうか」と思っているから文章の続きとしては「壊滅」のほうがいかにも正しい。軍隊の通信文としても普通は壊滅の語が使われそうだ。かといって、これは誤りだろうか……のような、旧と改を何度も行き来していると字句の同異で時々思ったりする。無論今現在、出版されているものは〈改〉が決定版だからマニアの片端な興味でしかない。

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  • 13

    katka_yg (@ygasea.bsky.social)
    「騎士の価値を問うな」というタイトルの意味自体は、読者にはわかられているのだろうか? これは今も少し疑問だ。(貴女に既に命捧げている、)という文の前半は、含みとして本文中では明示されていないだけに、なんかかっこいい以上に読者に受け取られていないような気がする。零はずっと言っているが
    Bluesky Social

    これは前回どこで言ったんだっけ……騎士道のところか。

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    katka_yg 2025/05/25 (日) 12:21:29 修正 >> 13

    「無人か?」
    「ジャム人の正体がわからないから、なんともいえないが、おそらくあれは自己誘導機能を有する機械だろう――フリップナイトのような」

    この「ジャム人」のところは雪風ファンの間では言われ尽くしたことで、ジャムでいい、いやここはジャム人だ、とか言われたことだろう。さっきのはそうでなく、口に昇すときの響き。

    こういってみると、おおよそほとんど「詩集」みたいな気分で再三読み返しているからな。現代日本語でその気分で読める作家に今も乏しくて飢える気持ちは、まあ同じ読者ならわかっているだろう。