「だからオルファンは、誰かにそばにいてほしいって、話をしてほしいって思っていますよ!」
このような話を、このように断定されて、信じる者などはいないものだ。が、比瑪の言葉で語られると、オルファンというものの実体が、確かにそうなのではないか、と思えてくる。願望であったにしても、そうであってほしいと考えるのだ。だから一同は、口をつぐんでしまう。
わたしはここで『ブレンパワード』の本筋から脱落する。陳腐だと思うから。それを言ってはいけないか? でもわたしの今現在のテーマはここなんだけど。
ル・グインでもタニス・リーでもダンセイニでも、ファンタジーについては今そこの興味を追っているので、わたしの関心事にさせてもらおう。ブレンは、今日の時間中に読んでしまおうか。
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ル・グインの名を出してしまうと、それは例の『馬鹿か!おまえは!』から始まる勇の一番の長台詞のことを書き込んでないとならない。その台詞はノベライズにはない、念のため。
その中の、――雄と雌との関係でもない、もっと根源的に、陰陽とかプラスマイナスぐらいはっきりと反発し合う習性をもっている。何故だよ!――とのくだりは、先日『闇の左手』を再読していて、どうしても連想していた。『闇の左手』は80-90年代日本でも傑作評価されているので直接の引用と思われても怪しくない。もっともル・グインくらい強者だと、影響を言い出せばなんにでも言えて否定できない。むしろ、読者もあまり引っ張られないように耐える。疑う。
わたしは『ブレンパワード』の事件の顚末は陳腐だと思うけど、依衣子姉さんのストーリーの結末としてはそれ以上なく好ましい。わたしはそれ以外どうでもいい。
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