バイストン・ウェルの月
鍾乳洞に飛び込んだ迫水とリンレイは一息つきながら、この一帯の異様な火山地形についてとバイストン・ウェルの「人のオーラ力」(意思)によって成っているという観念を話し合う。その折にまた、革鎧と鎖帷子をくつろげているリンレイの胸のあたりが気になるが、迫水のそうした想像は完全版では毎回のように、彼女にテレパシーで筒抜け。
その話の中で、『リーンの翼』における月についての談話がある。ここでは、リンレイは「月」なるものを知らない、バイストン・ウェルには月というものはない前提で、迫水のあやふやな宇宙観と古典SFの月世界のような話をしようとして、リンレイとロマンチックな空想を共有する。
前回、旧1巻の頃に書いたが、「バイストン・ウェルに月はない」というわけでも必ずしもなく、シリーズ作品によっては、月もある。『オーラバトラー戦記』『ガーゼィの翼』では作中、夜に月が昇っていて、「月と呼ばれている巨大なもの」あるいは、「地上でいえば、月にあたる燐光の塊」のようにいう。
ここでいう月は、
燐光 とおなじ組成で、それが巨大にまとまったものには、満ち欠けもあった。光のぐあいは、多少ぼやけた月という風情である。
(『ガーゼィ』より)
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この素朴なほどのタッチの挿画が今見るといいな……。