「32 青年二人」(旧)
「20 火の水の砦」(新)つづき
前回の戦いで手ひどいダメージを負った迫水は女武者メルバルの看護を受けることになる。またバイストン・ウェルで女性に裸を見せることの、迫水の羞恥プレイ的な趣向が若干戻ってくるようだが、それは置いて、
「聖戦士殿が、ご健康ならばいたしません。衛生には気をつけませんと……」
メルバルはまた衛生という言葉を使った。迫水は、その言葉がこの世界には似合わないと思う。(旧)
「衛生に気をつければ、痛みはすぐなくなります」
メルバルは、また衛生という言葉をつかったのだが、その言い方は自信にあふれているのがおかしかった。(新)
このこと。前回、鐙の話の連想で思い出していたが、ファンタジー世界の衛生事情を云々させる話は今わたしは目新しくは思わないのだが、バイストン・ウェルでは、『ガーゼィ』でも軍の環境改善のようなことをしていたのに、今度この箇所ではそういう地上意識をむしろ意図的に削除しているよう。
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『リーン』のバイストン・ウェルは異世界で中世にしても、『中世にも衛生観念はあるんですよ』のような言い替えになっていると言えばいいかな。大げさに言えば、著者の歴史観がこの間に更新した部分が読める、と言いたかった。