友情に身を捧げる
ワイルドの童話集「The Happy Prince and other tales」を読んでいた。それはやはり富野話題の中で「ナイチンゲールと薔薇」からの連想だったけれど、この中の「The Devoted Friend」(忠実な友人)という話がある。この話に登場する、友情に篤い正直者ハンスは、今ここで始めた「生き神様」のようなお人でもある。ハンスは友情というものを深く信じていて、それは普通の人よりは深く深く信じているのかもしれない。そのために、親友を称している粉屋にいつも利用されている。事あるごとに搾り尽くされているようだが、ハンスは友人を疑うことも妬むこともなく尽くし続け、そのせいでとうとう自分は命を失っても文句言わずに死んでいってしまう。悪意でもあるかのような殺伐とした童話だ。そもそもワイルドは子供のために童話を書いているとは思えない。
その結末に、聞き手のネズミは腹を立てて帰ってしまうのだが、語り手のヒワと、その場にいる善良なアヒルはもうちょっと会話を続ける。モラルについての話は、人になかなか真面目に聞かれないものだ。力説するほど、笑いごとか、言い方によっては人に怒りをかき立てるかもしれない。それは危ないことでしょ?と話しているが、その意味はここで考える。
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