「呼び出しの術」のストーリー型の起源について等はまた、詳しくはないし、漠然と尋ねれば幾らでも幅の広がることだろう。ひとつには、「片思いの恋人を自分の元に引き寄せる」という「恋の魔術」としては、このまえ「黄金のろば」にもあったがそんな魔術は人類の歴史のかぎり、遡れば有史以前からもあっただろうと想像はできる。
「死者の霊を呼び出すこと」については、わたしはいつも『アエネーイス』を最初に思い出す例だが、そこでもすでに呼び出される霊は自分の意思に反して、かなり辛そうに現世に姿を見せ、術者の問いにも苦しげに答えていたものだった。ネクロマンシーについては別途またする。
そうした、不承不承の相手を強制的に呼び出し、霊的に支配もすることに対しての反面、後ろめたさの気分は古代の作品からでも読み取れる。コーリングで呼び出すことには極度に昂奮している女の子に対して呼び出された男の子の対応が塩、のような気持ちも踏まえておきたい。
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