かとかの記憶

タニス・リー 通読 / 18

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katka_yg 2025/03/25 (火) 23:42:51 修正 >> 17

とにかく、タニス・リー作品には必ずこれが出てくることと、徹頭徹尾これが後年まで作者のテーマになっているのが「タニス姉貴はガチ」という理由でもある。

実践的だから、という実践的なことに欠点もなくはなくて、欠点はある。何より「実践すると死にます」という話をするんだから無意味に大勢にばら撒くには悪い物語群だ。言えば、「死んでもいい」目的があるときにはリーを読んでいれば捗る。それか死なないか、死んだら自力で生き返る人。

この世に、熱情的に生きられる人は成人のもしも10パーセントくらいだとしたら、「熱情を説き続けること」は残りの90パーセントにとっては望んでも決して報いえない、不毛さの害にもなりかねない。また、熱の人も何の目的や甲斐も得られない日々にこの種の教唆を聴き漁り続けると心を蝕まれる。処方箋としては、そのときにはダンセイニみたいな態度の方がいい、と上記。「信じるな」という語りの徳もファンタジーの方法としてある。本当を説き続けないからといって、嘘じゃない。

小説を読んで癒やしになるとか、力になるとか、そういう読み方を勧めているわけではない。「読書は娯楽だ」と思ってる人にとっても、娯楽として読めない鬱になることがある、のこと。とくに、古典的な共感呪術を基礎にしているものはその理論で効いているはず。その後、80年代末頃を境に創作の方法は変わったらしい。

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