テロリストのロマン
テロ組織のマフティーはテロリストにしてはひどくロマンチックな(甘ったるい)メンタルの集団である。マフティーに拾われた後にギギが抱くだろう感想「マフティーのみんなは優しい(優しすぎる)」というのは、あながち理由のないことでもない。ロマンチストが集まっているが自堕落でもない。
マフティーの組織内の規律と士気は異様に高い。中で不和を起こしたり乱れたりはしない。志操堅固で、メンバーになりうる人を精選しまくっているので、かえって単純に人手不足に悩むこともしばしば。マフティーに傭兵はいない。
精鋭のみを集めて、思想的には理想的な集団だが、行動を起こせば人員の換えが利かないのが分かりきっているので、組織として長続きはするわけがない。そのことは彼ら自身がよくよくわかっている。
極めて知的で自制の利いた人間達が揃っている。人当たりは穏当で礼儀正しい。ハーラみたいな跳ね返りでさえ不規律は嫌う。一方、優しいといってもその場の他人に優しいだけで、殺人者であることは厭わない。作戦の巻き添えに無関係な人々が死ぬことも最低限やむないとするし、自分自身についても、作戦を敢行した後に生き延びることも諦めている節がある。
宇宙世紀のシャア反乱以後のパイロット達の行く末をシミュレーションしたらそうなったのかもしれない。もはやシャアが居ないこの時代に、人として考える頭と行動する能力があってしまったらできることは何なのか、腐った政府の下で軍に奉仕しても腐敗を助長するだけだと分かってしまった後で、鬱積した自分のやるせなさをぶつけられる何の仕事があるのかと考えた末に末路的にマフティー活動に身を投じた……能力と意識は高いが、生きて先にする目的がない。
この世で純粋に清廉潔白な行為を探したら高すぎるハードルの決死的挑戦しかなかった。まず生きて帰ることは考えられない。そこに報酬なんかないんだが、せめて任務に情熱をもって打ち込めるだけのスリルを求めてやっているのかもしれない。そこまでは創作として分かるだろう。