エクロシア「………(泣き叫ぶカレンを宥めるプルストを静かに見下ろし、彼女が落ち着いた頃合いに口を開きはじめる)……ひとまず、ご無事で何より。村の人々は…残念ながら、ですが。彼らの魂は私の方で連れて行きます。」
エクロシア「それはそれとして、プルストさん。本当によくご無事で。死神とはいえ、『奴』に標的にされてしまえばどうなっていたか…」
エクロシア「――――『バゼル・ヴィオ・グランツ』。恐らくあなたはご存じなかったかもしれません。無理もないです。
彼は大昔…まだ貴方が死神になる前から存在し、そして幽閉された、冥界において史上最悪の死神。閻魔様により、フロア7永久地獄に投獄された経緯を持っている。」
エクロシア「彼の異常な殺戮衝動を抑えることはできない。たとえ閻魔様をもってしても。だが、彼がその本性を曝け出す前に、彼の手腕を評価した閻魔様に、ある物が授けられた。」
エクロシア「 それこそが…――――――『 死神の眼 』 」
エクロシア「閻魔に選ばれた特別な死神だけが持つことを許された眼。あらゆる生命の寿命を看破し、その行く末を、そこから遥か未来まで見通すことだって容易い。かつて私が仕えていた女神様が持つ「千里眼」にさえも匹敵する程の、"神の眼"…!」
エクロシア「あの眼を見た時、感じたでしょう。神さえも殺しかねない気迫、殺意…それがあの眼の力です。
己が潜在能力を飛躍的に上げるだけでなく、対立する者の戦意を瞬く間に喪失させる。まさに、死神の名に恥じない、死神に相応しい眼。」
エクロシア「ですが、そのあまりにも強大な力を持つ目の力を取り入れることは、神ですら困難を極める。実際、死神の眼に適応できたものは数少ない。たとえ順応できたとしても、目に生命力や魂魄を吸い取られ、一度死した者でさえも蒸発してしまうのです。」
エクロシア「奴…バゼルは、その眼に完璧に順応した、歴史上唯一の死神。そんな彼は、今、眼の"片割れ"を持っている。「眼」とは本来、二つ存在するものですからね。」
エクロシア「もう一つの「眼」ですか?閻魔様により、地獄の奥底に管理されています。あのバゼルが目を両方揃えられないように、奴ですら居所を掴めない奥底に。」
エクロシア「プルストさん。貴方のことです。きっとバゼルを止めようというのでしょう。そんな貴方を止める資格は、私にはありません。ですが、推奨はしません。私ですらバゼルには到底及ばない。彼は現時点において、死神の頂点に立つ存在… その暴走を食い止めるのは困難でしょう。」
エクロシア「ですが―――――不可能ではない。
プルストさん。貴方の強い正義感は神界でも、地獄においても誰もが高く評価している。故に私でも理解しています。
貴方は決して、バゼルを野放しにはしない。その魂を失ってでも食らいつこうとするでしょう。」
エクロシア「そんな貴方に、方法を教えます。ですが、これも推奨はしません。バゼルを止める、唯一の方法を――――」