グワンドはただの人間ではない。
醜い容貌は先祖由来の血からなる遺伝。
ゆえに彼ら民族が容赦ない差別を受けた来た。
魔法の国の隅にある枯れた土地で滅ぶのを待つだけの運命をたどる彼らの生業は、非人道的なものだった。
美しいものを奪う、美しい者から孕ませる。
それがさらに差別を悪化させたのは言うまでもない。
グワンドもまた成長していくにつれ、国や民族の狂気におかされていった。
彼を満たしたのは奪うことではなく、美しいものへの復讐。
美しい女性に対する倒錯した感情によって暴力の手段はより磨きがかかり、武術の技にその下劣さが滲みでてしまった。
その醜い強さを、かの2人に買われたのだ。
「うぐ…くくくう……! くはっ!」
締める腕に手応えあり。
脱力したヒカリを抱いたまま、後ろのめりに倒れ込んだ。
ここで生死の確認をとるべきなのだが、これまでにない戦いからなる体力の消耗と満たされていく精神が心地よい脱力を生む。
「かはーっ、ふう、うう……っ」
この感覚だ。嬲り、弄び、痛めつけたあとにくるこの充足感。
自分と敵対していた女が、生と死という関係によって空間と、世界と一体化したこの詩的とも言える情景。
神の視点で観れないのは残念だが、まだ首にゆるく腕をまわしたままのヒカリのぬくもりと重みを一身に受けられるこの至福に対し、神への感謝を念じた。
そしてゆっくりと呼吸を整え始める。
まだ仕事はあるのだから。
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