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軍用の鎮痛剤……強力な麻薬にも等しいそれが染み込んだ、ロリポップ状の薬剤を、もう一本口に咥える。
連続しての摂取は禁忌とされているその行為を、敢えて行う。痛みを取り除く為の本来の用法では無く、無理矢理に昂揚感を沸き立たせ、意識をより鮮明にするために。
血と泥に塗れた姿で、ひしゃげた四脚で、クレーターの中心で立つ。
左脚は義足すらも砕け、残った右脚は以前の負傷で完全に麻痺し、おまけに完全に折れて曲がっている。%%
それ故に、科学者として、尊敬する人物が基礎を作り上げ、信頼出来るメカニックと共に維持し、戦い続けてきた鉄の四脚型ガジェット、『執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》』。
その四脚を足の代わりとして"立ち上がった"姿で、左脚の義足の接合部に隠したポーチから、ラタリアに託された"それ"を取り出す。
ヘザー「………ラタリア博士、私も………貴方を信じていますよ。科学者として、人間として。」
ヘザー「現状の『執行四脚』でさえ、手足の様に動かせるまで時間が掛かった。味方の援護下で、並んで戦って、大出力の新型を乗りこなせるかは不安が残った。それに、遊撃隊《アサルト》やイーティス・センシオンと交戦する前に、嗅ぎ付けられたくは無かった。」
ヘザー「いや、これも……言い訳ね……貴方が命の保証が出来ないというのなら、きっと、そうなんでしょう。情けなくも、私は躊躇っていたんでしょう。この世に未練が山ほど残っているし。けれど」
腰部に巻き付く様に装着された『執行四脚』の基部。丁度身体の正面、臍の部分のメンテナンス用ホルダーを開く。
ヘザー「……目の前のあの『敵』に対処するには、これの力が絶対に要る。――私には団員を守り、任務を果たす責任がある。それを果たす為には、使う以外の選択肢はもう残されていない。そして、もう一つ……」
開いたホルダーに、叩き付ける様に小型円盤デバイスを差し込み、ホルダーを閉じる。
ヘザー「恥ずかしげも無く敵に寝返り、レギュレイターを……私の兵団を滅茶苦茶にしてくれた挙句、大仰に説教を垂れながらこの私を踏み付け、傷付け、汚し、見下しやがるあの女を蹴飛ばしてやらないと……気が収まらないでしょうが!!」
鎮痛剤の過剰摂取で感情のボルテージが一気に上がり、怒りの滲んだ破壊的な笑みを浮かべながら叫ぶ。
それに呼応する様に、ひしゃげていた四脚のそれぞれから文字通り"火を噴き"、『 UpG.《アップグレード》 Ver.Ⅱ 』に依って空間に現出した外付デバイスと合体。鳴り響く金属音と共に変型を始める。
轟音と共に、瞬く間に四脚の一本一本が元の倍以上の全長・直径にまで巨大化し、先端は三本爪のアームへと変形。原型を残しながらも、更に強靭・巨大化した姿へと変わり、本体であるヘザーを抱え上げる様に伸びた所で、ヘザーは再び、叫ぶ。
ヘザー「ロックンロール!!第二ラウンドだ!付き合え、ティネル・カルロウ!!」
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BGM Change:-Crawl- GUILTY GEAR STRIVE ORIGINAL SOUND TRACK VOL.1
https://www.youtube.com/watch?v=U1X5mF1sLRU