ヘザー「ゴッ――――シャァァァ――ン!!!!(あの弾幕を受けながら殴ったのは無理があったか…?だが……確かに、潰した…!ダメージの蓄積で体勢も崩れている……!今潰したブースターは双発式、打撃による物理的な破壊なら、直ぐに立て直せはしない……!)」
ヘザー「(千載一遇の好機とは、まさにこの時の事を言うのだろう。このまま立て直す隙を与えず……本体を殺す)さぁ、この私を見上げろ、ティネル―――――」
(打撃に用いた鉄脚の一本がひしゃげ、逆方向へと制御を喪って折れ曲がる。それでも躊躇うことなく、その目は次なる標的、ティネル・カルロウを破壊せんと向き直る。レギュレロイドが体勢を崩したことにより、位置関係が逆転。ティネルを見下ろす形で真っ直ぐにその顔を、目を見据える。そして――――――)
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「―――おい、大丈夫か!!しっかりしろ!!」
炎。瓦礫。死体。
一日たりとも思い出さない日は無かった景色。
10mm弾で目玉と脳を吹き飛ばしても走り続けた男が、私の蹴りを受けた瞬間に爆弾を起爆させた、その"次"の景色。
気を失っている間に護衛対象と私のチームは既に退避し、襲撃者は疾うに消え失せた。
死人と怪我人で大騒ぎの街中で、名も知らない民間人であろう老人が、必死に私の身体に布を巻き付け、千切れた足の根本を押さえ付けている。
忘れた事もない。私の足を喪った日。見知らぬ誰かに、ただの善意で必死に命を救われた日。
「―――あれだけ不満そうにしていた癖に、実物に触れた途端大喜びじゃないか。看護師達が驚いてたぞ、笑った所を初めて見たってな」
二度と歩けない身体になった私を笑っている様にも見えた、歪な形の妙に大きな車椅子。
それが見る間に形状を変え、4本の鉄脚となって私の意のままに動く。
両足の残骸と共に止まり始めていた私の世界が、再び動き出した様な感覚。
この後団長の席を私に押し付けて来た男が、へらへらと笑う。
その隣に立っている少女が私より年上で、この素晴らしいガジェットを作った張本人だと知った時の感情を、私が忘れる事は無いだろう。
そう、忘れる事は無い。
私の生き方を変えた日々。今日この時に繋がる、楔となった時間たち。
今この場で何故だか、そんな日々が一瞬のうちに幾つも頭を過ぎる。
止まった時間の中で、その"答え"が鮮明に脳裏で再生される。
「話は聞いている。君が、彼に代わって第6調査兵団の団長を務めると。―――期待している。」
「――――レギュレイター・総司令官の「ティネル・カルロウ」だ。以後、よろしく頼む。」
あの時と同じ光が、私を見据えている。
あの時私が感じた憧憬を思い出す。
寄せ集めを束ね、戦う者として、確かな強さと意思を持った目が。
私を明確に見据え、命を奪おうと射抜く。
―――これは、きっと、走馬燈だ。私は、恐れているんだ。
眼を逸らしていた「死」のビジョンが、鮮明に頭へと焼き付く様な感覚に、吞まれていく。
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