ネオン「――――!すごい…この一瞬で先生の毒に対する有効打点を見出すとは… 調査報告でしか知り得ていませんでしたが、やはり高水準技術を誇るアトラスの叡智は五大国随一ですね… これならば、接近戦を仕掛けることが比較的容易にはなるはず…―――(ですが……――――)(一喜一憂に表情を歪ませながら事の成り行きを見守る)」
サナトリー「……―――――――― ヒ ュ ボ ォ ッ (毒沼を凝固しながら確実にこちらへの接近を仕掛けるアーリマン隊を前に、進撃の歩みを止める。だが静止したと思えば考える間もなく腰元にぶら下げていたカンテラを手繰り寄せ、点火) ヒ ュ ッ (火を灯したそのカンテラを、灰色に凝固した大地へと投げ入れた―――)」
アルタール「――――!Wait…なんか様子がストレンジだ……一度Uターンしたほうがいい…!!(サナトリーの一連の動作を怪しんで、侵攻する部隊へ叫ぶも――――)」
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―――――――――― カ ツ ン ッ (投げ入れられたカンテラが灰化した地面に弾けて、中に閉ざされた火が外へ解き放たれる。その、瞬間だった――――――)
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ボ ォ オ ォ ン ッ ! ! !
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余にも刹那的な出来事であった。彼らを遮る毒が灰の路となって姿を消したかと思えば、その広大な路が瞬く間に発光。
光は一瞬で夜を丸ごと包み込み、"大炎上"。
それはまるで至近距離で太陽爆発を目撃するような、形容できないほどの大衝撃。
核爆発など生易しいといえるレベルの強大な爆炎が、一瞬で彼らを消し飛ばしたのだった―――――――
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ネオン「―――――――……パラ、パラ……ッ……(気が付けば、消し飛ばされた建物の残骸に埋もれていた)…ッ゛……ぅ……!(その右肩は瓦礫によって完全に"潰されて"しまい、右腕はもはや使い物にならなくなってしまった)」
アルタール「……Oh……ァ……ッ゛………(辛うじて維持していた岩盤に叩きつけられていた。だが、その宇宙服のフルフェイスマスクに大きな亀裂が生じ、指一本で突かれてしまえば粉々に砕け散る程であった)……な、なにが……おこ、て………?(状況を確認しようと、めり込んだ全身を抜き出そうと試みる。だが、力は入らない)」
ネオン「ハーッ……ハーッ………うッ゛……( ド ス ッ )(まだ機能する左手でポシェットから即効性のある鎮痛剤、それが仕込まれた注射器を取り出し…自身の右肩へと注射。その後、慎重に瓦礫の間隙を縫いながら埋もれた右腕を引き抜いた)……はぁ……はぁ………トリクロロエチレンは……ッ…炎に触れると、分解して有毒且つ腐食性のヒュームを生成するんです……ッ…」
ネオン「ゼェ…ハァ……そして、ヒュームとは……塩化水素のこと… 塩化水素自体には爆発性はありません…です、が…ッ……!金属を浸して水素を発生させた際、空気と混合して爆発するんです…!あの時、先生が投げ打ったカンテラ…きっと、その爆発を、何十倍以上にも引き出す…特殊な加工が施されて、いたのでしょう……!でなければ…こんな甚大的な被害は、起こるはずがない……!(目の前に広がる惨劇を前に、少女は戦慄を覚える―――)」
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イースターだった景色は、先の大炎上を経て作り替えられた。
建物は全焼どころかそもそも初めから存在しないものとして跡形もなく消し飛ばされ、遮蔽物の一切は消し飛んだ。
よく見れば、その隣の海…海面上を、残骸や死骸が満たしている。頭上に広がるは夜空ではなく爆発によって生じた曇天。
黒く焦がされた大地にはまだいくつかの火種がパチパチと音を立てながら揺れている。
なにより、一番目立つは巨大なクレーター。その中心部に、人影が立っていたのだ―――――
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サナトリー「―――――――――(――――爆心地にペストマスクの人物。彼女が着込んでいるラバースーツは特殊防火加工が施されているのか、傷どころか溶けている個所も一切存在しない。ただ微かに燃え盛る大地の上に佇んで、この惨状を感受するように両腕を広げるのだった)」
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