アルタール「 グ フ ッ … … ! ! (メスに胴体を貫かれ、致命傷を負う。罅割れたヘルメットの亀裂から鮮血が僅かに噴き出し、内側の視界が真っ赤に染まっていくのを感じた)……い……ケェ……ッ……!(自身を犠牲にヘルトラウダにすべてを託すように、その身が崩れ落ちた)」
サナトリー「 ブ シ ィ ッ ――――――( ! ! ?)(アルタールを葬った隙に飛来したガダルの「腕」、そこから噴き出す血飛沫によってペストマスクが血塗れとなり視界が遮られてしまう) ド グ ゥ オ ン ッ ! (過ぎに対処しようとしたのも束の間、そこにヘルトラウダの渾身のフックが顔面に炸裂。ペストマスクが一瞬で凹み、ガラス部分が砕け、そして…ついにそのマスクが吹き飛ばされた―――――)」
サナトリー「 ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! (ようやく曝け出された素顔。麗しの銀髪が潮風に揺られ、曝け出された白い肌。穢れを知らない女性から、俗世を忌み嫌うかのような怨嗟の如き絶叫が空に劈く。自身の敏感な白肌は徐々に空気に混じる毒素によって汚染されていくかのように黒ずんでいき、血管が気味悪く浮き彫りになっていくのだった)」
ネオン「 先 生 ッ ! ! ! (この瞬間を待っていた問わんばりに絶叫するサナトリーへと飛び込み―――)――――― ド ス ッ ! (彼女の首筋に突きつけた拳銃のトリガーを引いた。発砲音はなく、代わりに何かを撃ち込んだような鈍い音を響かせる)」
サナトリー「 ッ゛ ! ! ? ( ド ッ グ ン ッ ! )(首筋に「何か」を打ち込まれたその直後、すぐに自身の容態に変化が訪れたかのようにその体が大きく跳ねた)
ネオン「ハー…ッ…ハー……ッ…―――――「サクシニルコリン」…!麻酔導入用の筋弛緩剤として使用される薬品… しかしッ…今打ち込んだ量を体内に過剰摂取すれば、それはもはや"猛毒"となる…!そして…その毒はもう既に…目まぐるしい速度で貴女の身体を蝕み…やがて死に至らしめる…ッ……!」
ネオン「……先生……貴女が教えてくれたこと、一度たりとも忘れたことはありません…っ…… 時代が移り変わろうと、医術は世界が求め続ける…!だからこそ…私たちは、倒れてはいけない… そこに助けられる「命」がある限り……!理由はどうであれ…貴女は多くの「命」を殺めた…… この「手術」を成功させる方法はただ一つ…―――――」
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ネオン「―――――― 先生、貴女を永眠させることです」
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サナトリー「… ァ … … ア゛… … ァ゛ ァ゛ ア゛ … ッ゛… … … ! ! ! 」
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今まで本当に、ありがとうございました。そして……おやすみなさい
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サナトリー「―――――― ド サ ァ … … ッ … … ! ! 」
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「黒衣の医師」が崩れ落ちる。
その最期に何を思ったのか、彼女たちには知る由もない。
少なくとも、教え子や仲間たちが命懸けで取った行動は…
彼女自身が食い止めようとしていた「病」の浸食を、阻止(と)める結果となった―――――
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ネオン「――――――――― フ ラ (恩師が倒れた後、力尽きたように横たわる。仲間たちが決死の覚悟で作ったくれた隙を突いてサナトリーに一矢報いることはできた。だが、それは同時に――――"相打ち"となっていたのだった)… … ジ ワ … … ッ … … (投薬のその瞬間、実際は取り乱していた彼女のメスをその心臓に受けていたのだ。メディックである自身にはその致命的な事態の重みを理解していた)」
ネオン「………………―――――」
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先生……貴女の教えで……私たちは……これ以上の被害を抑えることが、できました……
私はもう、"ここ"までです……
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"さいご"に……自分の「命」を知りました……
ああ………「命」が……こんなにも…熱くて……重くて……儚くて……
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もう少しだけ「生きていたい」と、願って……―――――――――
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ネオン「―――――――――――――」
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その少女は、憧れの恩師と対となるような態勢で横たわる
二人の遺体は赤い池に満たされ、沈んでいくのだった―――――――