カオスドラマX

Gray Traveller / 509

509
わったん 2026/02/15 (日) 19:49:12 >> 506

―22区―

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昼と夕方の狭間。
該当地区には、緩やかで長閑な雰囲気を保っていた麦畑が広がっていた。
同時に奥に見えるビルは不自然に立っており、だが本来であれば、そのビルが元々その背景に相応しい場所であった。

「エル村、ソル街」
「……山村というには、発展しているが」
「……この麦畑……何処かで俺は……」

街路を歩む。
幻想的且つ帰郷とも思えるその田舎道。
道中、村人と見てわかる格好の人物が麦畑で仕事をしていた。

「こんにちは」

「あら、こんにちは」

遠くから声を掛けても、その返事は明るく活発的であった。
声色からでも分かる。その人達は、此処で生きている事が。

「最近はお客さんが多いわね」
「村長さんは村の奥に居るから、挨拶するならビルの方に向かっておくれ」

警戒心の欠片もない、長閑な人々。
挨拶を施した人間だけでなく、遠方に見える子供達や、老人たちは平和そのものの暮らしをしていた。
何処か、不安のない、幸せだけに満ちた世界。
都市の空間としては、異質であり、同時に自身が望んだ世界のようにも思える。

麦畑の路地で遊んでいた少年達が居た。
愉し気に笑みを浮かべながら、棒切れや土で遊んでいる。
その光景は、嘗ての故郷で自身以外で遊ぶ子供達の風景を彷彿とさせていた。
そう。嘗ての故郷での出来事のような、その幻想。

「こんにちは」

子どもたちに声を掛ける。

「こんにちは!もうすぐこんばんは!」

元気のいい挨拶。
とてもではないが、ねじれの影響下に居る人間とは思えない程快活であり、
そして純粋であった。

「おにいさんどっから来たの?すっごくカッコいいね!」

「……楽しそうに遊んでたね」

「うん!だって不安な事もないし、絶望もないから!」
「ずっと希望に満ち溢れていて、この世界の正しい在り方が此処では享受出来るんだよ!」

「希望、かい。絶望がないなんて、都市では珍しい話だね」

「そう!でも、ここはもう都市なんかじゃないんだよ!」

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