カオスドラマX

Gray Traveller / 523

523
わったん 2026/03/01 (日) 18:47:46 >> 522

3年目の旅路。
村を出たばかりの1年目や2年目は、ただ生き延びて、雫を持ち帰ることに必死だった。
けれど、二人での旅に慣れ始めたこの頃、俺たちはようやく「旅を楽しむ」ということを覚え始めていた。
道端に咲く名もなき花。
野営の火で焼いた、少し焦げた魚の匂い。
夜空を見上げながら語り合う、他愛もない冒険の話。
彼女との時間だけではなく、
広大にも無限に続くこの世界という人生の物語の中で、
唯一無二の伴走者たちと巡り合えたこと。

焚火を囲んで、夜空の下で煤の音を聞く。
その最中は、キャラバンのそれぞれは思うがままに過ごしていた。

「レビ。剣の綻びを無視すんな」

武器の手入れ。
ルーンブレイドの刃先を篝火の赤光で照らしている時、リルティの覇気ある声が冷水を打つように届いた。

「わかってるよ。別にわざと無視してたわけじゃねぇんだから、んな怒んなって」

「いいや、怒る。魔物と戦っているときに剣が折れたらどうする」
「お前の命だけじゃない。俺様達も危険な目にあうんだぞ」

小柄な体躯、野菜の形をした種族。
ミルド=デリスは、常に気を張ってくれていた。
野営中のそれは外部からの攻撃だけではなく、
俺達の旅路に於ける準備に司る部分まで、しっかり見てくれていた。

「俺の剣術についてこれねぇ剣が悪い。新調してぇの」

「この前オーガのキバを手に入れただろ」
「あとは「しょうりのぶき」があればマール峠の鍛冶職人に新武器を鍛造してもらえる」
「それまでの辛抱だ。お前が居なくちゃ、ティダの村のキャラバンじゃないだろうが」

喧嘩腰に近い声色。
あん時の俺はガキだったんだ。許してくれ。

「俺の剣が折れても、ミルド=デリスの槍があんだろが」

「だからって俺様に負担押し付けんじゃねーよ!」

「いーだろーがよ」
「獲物を寄越せ寄越せっていつもうるせーくせに、我儘な心配してくんじゃねーよこういう時だけよー!」

互いに青筋を浮かべて、睨み合ったな。
あの時もそうだったが、俺はミルド=デリスと喧嘩をするのが好きだった。
やってやろーじゃねーか、と、どちらかが言い始めるのが恒例だったよな……。
そして、決まってその頃に

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