カオスドラマX

Gray Traveller / 524

524
わったん 2026/03/01 (日) 18:49:07 >> 522

「もー!あんたらうるさい!こんだけうるさいんじゃソニックバットも食いついてこないよ!」

「意味わかんねーよ」

俺達を諫める……というよりか、無理やり抑え込むような、奔放な母みたいなセルキーが声をあげるんだ。
大人びた風格、それでいて自由の象徴とも云える種族。
ラ・セナは、常に俺達を見守ってくれていた。
見守るってのは、監視とか、保護とか、そういう意味合いじゃない。
自由で居られるように、付かず離れずの距離。
自分も、相手も縛られることのない、柵の無いそんな人だった。

「セレパティオンの風でさえ、何処かそよ風を纏っているってのに、アンタらの騒音ときたら」

「喧しさで言ったらお前だって――」

「なんか言った野菜頭?」

「すんません」

「怒られてやんの」

「あんたも」

「はい」

「まったく。野営中ぐらい静かに過ごして欲しいわね。そんなにアタシの旋律は気に入らないかしら?」

ラ・セナは決まって鼻唄を風に乗せる。
その揺らした静穏は、旅に疲れた者を癒す憩いの歌――という訳では無かったな。
俺からすれば、故郷に帰るための、希望の歌。
安らぎというより、魂の深淵に火を灯すような、不屈の感謝の歌。
だから好きだった。
耳から浸透して、心に残るその歌声は、俺達キャラバンにとっては支えの一つだった。

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