「……」
眺めていた。
俺の仲間が、クラヴァットの村であるティダに溶け込む様を。
俺の旅路が、肯定されていくこの感覚を。
俺の物語が、確かに色を帯びていくことを。
俺の感情が、今すぐにでも君に会いたいと嘆く事を。
「レビ」

燦然と輝くクリスタルの光は、絶望が入り込む隙などない「完璧な世界」の断片だった。
その光に包まれながら、俺は俺の「光」へと向き直る。
「今年こそは誘ってくれると思ったんだけどな~」
「どうやらその様子じゃ、また思い耽っているのでしょーか」
「踊んのは苦手って毎年言ってんだろ?」
「水かけ祭りぐらいは踊ろうよー」
「いやだね。テトの踊っている姿を見られればいい」
「もー!どうして君はそんな恥ずかしがり屋なのさー!」
言葉にするのさえ恐れ多い。
テトの一言一句が、俺の思い出になり、俺の旅路を意味する。
それは村の中での安息の年もそうだ。
明日から、俺達はキャラバンとしての衣を一旦脱ぎ、
村人として、ささやかな生活を営んでいく。
「今のうちに踊りを上手くなってしまいましょー!」
「なんだよそれ。別に見せる相手もいねーっての」
「私、私!」
「今更カッコつける必要あんのかい?」
「ん~……それもそうなんだけど……」
「あ!未来の私達の子供達に向けて!」
「……」
「俺達もまだガキなんですけど」
「え~?いっぱしのキャラバンなのにー!」
……。
後悔と言えばいいのか……分かりやしない……。
彼女が向けた言葉の全てを、俺は細胞の一つ一つに刻み込んでいる。
彼女が向けた表情の全てを、俺は内包して記憶に留めている。
それだけ俺にとって、彼女は愛そのものだったから。
この時の俺達は、まだ十四歳の子供だった。
瘴気に蝕まれた世界であっても、その先には眩い未来が待っていると信じて疑わなかった。
クリスタルキャラバンとして笑顔で旅を続け、
新たな若者たちを頼もしく見送り、
背丈が伸び、落ち着いた面差しになった俺たちが、そこにいるはずだった。
幸福があると。
それまでの物語を描ききって、
黄金畑で、他の村から来たキャラバンを迎え入れたり――
とにかく、いろんな事を想像していたな。
思い出を紡いでいき、そして思い出に馳せた。
俺にとっての思い出には、必ず彼女が居たから。
俺は、最期の時までそうであろうと思った。