カオスドラマX

Gray Traveller / 566

566
わったん 2026/04/05 (日) 22:09:22 >> 556

「……」

帰る理由は明白だ。
仲間の死は俺にとって苦痛であり、試練。
このミルラのしずくの一滴を溜めるのでさえ、常に影を追っていた。
だが、俺が追っていた影達の過去を振り返る。
彼らは自らを喪っても尚、俺に下を向けと言うだろうか。

「……」

決してそんなことは無い。
俺の好きなあの連中は、間違いなくバカで、どうしようもないぐらい楽しい奴らだったから。
でも、時々現実に向き合った言葉を乗せる。
だからこそ、キャラバンの旅路で自分たちを喪ったとしても、前へ進めるように励ますだろう。

「……」

一刻も速く帰らなければならない。
俺は剣とケージを握り、走り出す。
……テトへの手紙を……書くべきだったろうか……。

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  • 567
    わったん 2026/04/05 (日) 22:09:57 >> 566

    「グルァ!」

    魔物が襲い掛かる。

    ザシュッ!

    倒す。

    「はぁ……!はぁ……!」

    傷を抑える。

    「ガルッ!」

    ザシュッ!

    倒す。

    「くっ……!!はっ……はぁ……!」

    ケージを抱える。

    歩く。

    「はぁ……!はぁ……!」

    周りを警戒する。

    「くっ……クソ……ッ!」

    「「「グルル……」」」

    ケージを置く。

    剣を握る。

    振るう。

    倒す。

    持つ。

    走る。

    倒す。

    持つ。

    下ろす。

    倒す。

    倒す。

    持つ。

    下ろす。

    倒す。

    持つ。

    走る。

    下ろす。

    倒す。

    持つ。

    ……。

    ……。

  • 568
    わったん 2026/04/05 (日) 22:10:41 >> 566

    擦り減りながらも俺は歩んだ。
    次なるミルラのしずくを求めて、
    ティダに一刻も帰る為に。
    ミルラのしずくを溜めている最中、俺は腰かけた。

    「……」

    手元の獲物の手入れを、気力で行う。

    「……」
    「……」
    「……」

    ……。
    あぁ……くそ……。
    割り切れるかよ……。
    受け入れられると思うかよ……。

    「……」

    武器の手入れを辞めた。
    俺が信じて疑わなかった、訪れる事のない受け入れ難い未来を、
    俺の夢物語を聞いてくれる奴らが、
    もう存在しない事を、改めて知ったから。

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