- Gray Traveller
- 556
わったん
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2026/04/05 (日) 21:59:53
君が居た時の旅は、レベナ平原の中枢部で引き返した。
けど、今回の旅ではそこから先を見る事になった。
俺はクリスタルキャラバンとして、世界の向こう側へと歩み、日記に綴る。
君が隣に居なくて本当に寂しいけど、俺には未来を見据える仲間が付いてくれている。
未来を護るための、仲間が居てくれているんだ。
思い出を護るために、君を護ると誓った俺を護ってくれる仲間が。
旅をする前に、君はクリスタルキャラバンから離れたと言ったけど、
それは違うと、今更ながらに思う。
テトは、いつまでも俺達と旅をするクリスタルキャラバンの一員だ。
愛している君が、どうか少しでも笑顔になれるよう、
希望を持ち帰る。
これから生まれる俺達の希望と共に、
どうか待っていてくれ、愛しい妻よ。
―レビの手紙―
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―ヴェレンジェ山―
「焼土」と呼ぶにはあまりに冒涜的な、腐敗の山道を歩み続ける。
幾重にも襲いかかる狂暴な魔物の巣窟を抜け、
俺達ティダの村のキャラバンはケージを抱えて希望を求める。
武器を握る掌からは、生命の灯火が零れ落ちるように力が失せ、
歩みは泥濘に足を取られるように鈍っていく。
息をするのも、目を開けるのもやっとの地獄。
だが……。
「山の最奥地はもう少しだ」
「ケアルの準備を頼んだ、トルブジータさん」
「ミルド=デリスはいつもの殿ね」
「だから逆に背中は気にしないでよ、アタシたちも気にしないから」
「夜道は月夜に照らされてこそ見えるもの」
「我々が突き進むこの道は、満天の輝きに護られし聖なる道」
「訳わかんねぇ口上は相変わらずだな」
「いつも通りで助かるよ、お前ら」
そんな絶望の淵は、これまでの旅路で幾度となく跨いできた境界線に過ぎない。
今回もまた、無事に勝利を刻み、黄金の故郷へと帰還する。
その不変の信条に、一欠片の疑念も差し込む隙はなかった。
ダンジョン奥地で態勢を整え、
より一層濃霧となった瘴気の中で山道に足を踏み入れた時、
其処にいた瘴気の根源との戦いとなった。
「はぁっ――!」
烈風のごときミルド=デリスの槍が、本体を護る触手の数々を悉く無力化していく。
ラ・セナが放つ軽やかなる挑発がテンタクルの妨害を惹きつけ、戦場を支配する。
トルブジータが紡ぐ治癒の調べと、天空を穿つ大魔法の奔流。
あらゆる要素が俺達の力となり、瘴気の根源との戦いの最中に見えた勝機。
俺は隕石の如き質量を持つその魔物へ肉薄し、魂を乗せた必殺の一撃を繰り出し
ガンッ!
その巨体から出てきた触手が本体である事を理解した。
「――」
肺の中の酸素が凍りつく。
対峙して初めて、心髄にまで響く戦慄を覚えた。
目の前に座するのは、単なる魔物ではない。この世界を蝕み、思い出を奪い去る「瘴気の理」そのものなのだと。
それは、俺達クリスタルキャラバンが毎年成し遂げてきた瘴気の災いから逃れる為の旅が、
終息を迎える事の他なかった。
「レビ!」
力無く地面に倒れ込む本体に剣を振りかざそうとした時。
「――やめろッ!」
聞いたこともない深淵から這い出た邪悪の咆哮。
その声に呼応するように、安寧であったはずのケージから、身を焼き焦がさんばかりの光が氾濫した。
俺達は成すすべもなく、光に飲まれた。
―クリスタルワールド―
青と黒、そして光で構成された幻想的空間。
ステンドグラスのような装飾の灯りが散りゆく最中、
其処には巨大な奇怪が宙を浮いていた。
「メテオパラサイトに手を出すな、ティダのクリスタルキャラバン共」
「――魔物が言葉を……!?」
「魔物とは、我が生成した歪みの存在」
「『哀しみの思い出』を作る、ただの連鎖に過ぎん」
「何者だテメェ!」
「我が名はラモエ」
「メテオパラサイトにより大クリスタルが破壊された時、その歪みから瘴気によって生まれし思い出の管理人」
「キサマらがクリスタルキャラバンとして生きるのは、我が食事を養うためである」
「瘴気に満ちた世界では、思い出の循環が上手く行かない」
「それ故に、魔物を作り、キサマらから哀しき思い出を作り出す」
咄嗟に感じたのは、
コイツが邪悪であること。
「大クリスタルの破壊とあれば、2000年にも及ぶ太古の歴史」
「隕石が降り注ぎし悪魔の思い出」
「人は殊勝な生き物よな」
「そうして歴史を刻み、争い、今を過去へと変貌させる」
「このラモエにとって、その健気な生き様は非常に美味であったぞ」
「アンタ、もしかしてその為にさっきの魔物を護っているっていうの……?」
「アンタの食事の為に、どれだけの人が苦しんでいると思ってんのよ!!」
「セルキーとは何処までも哀しき種族よ」
「コナル・クルハ湿原に刻みし最果てへ赴く旅路」
「その結末は、このラモエにとってはまたとない美味であった」
「アンタ……ッッ!」
「リルティにおける家族愛もまた、我が心を癒す物語」
「零れ落ちぬように支えた心中は、今も尚キサマのトラウマを刺激する」
「マール峠の悲劇は、中々痛快であったな」
「――」チャキッ
「ユークとは幾何学にしか生きぬものよな」
「針葉樹の大森林。その最中に浮かぶ夜空に恋焦がれ武器を持つ」
「シェラの里に囚われしキサマの孤独は、誰にも理解されぬ思い出であったな」
「故に夜空の端に連なんとせし」
「して、その輝きを共にする仲間と出会えたり」
「我が心を揺さぶらんとせしその言の葉は、決して某を陥れる事はなけり」
「共に道を歩むからといって、それは『理解』には成りえん」
「所詮キサマの独りよがりであり、キサマ一人の旅となる」
「――憤激」
「耳を貸すな」
「トルブジータ、お前の夜空への渇望は、俺達ティダのクリスタルキャラバンだけじゃない」
「ティダの村の皆が理解している」
「根本的な理解じゃないかもしれないが、お前の夢だ」
「お前一人の夢なんかじゃない」
「レビ氏……」
「これはこれは、我が聖域に踏み込みしキャラバンの長、クラヴァットの温か」
「不思議なものだな、キサマは哀しい思い出を抱えず」
「哀しい思い出に成り得る未来を排除しながら生きている」
「俺の記憶でも盗み見てるのか?」
「これから生まれし新たな生命の為に、身を費やす覚悟がありながら」
「キサマはまだ旅をしていたいと願うようだな」
「……」
「全部成そうとすることの何が悪い」
「願うだけならタダだ」
「実行できるかは定かじゃねぇけど」
「今、この外でグータラ伸びきっているあの隕石紛いのバカに剣を突き立てれば」
「俺は家族と共に旅することだって出来んだよ」
「フハハハ!!!」
「希望のつどいしティダの村、そのキャラバンの長」
「こうも愚かとは、哀しき運命よな」
それぞれが武器を握る。
今、目の前に浮かぶ巨大な魔物。
それが諸悪の根源である事は間違いなかった。
「これが最後の戦いになるな……!」
「どーかしらね、アタシたちは何処までも旅するんでしょ!」
「然り。某の夢もまた、其方らを紡がんとする流星」
「……」
「行くぞ……勝って、この世界を――!」
全滅した。
……全滅した。
戦いの最中、苦しみに叫ぶ俺を肉の壁となって護る誰かが居た。
戦いの最中、剣を握る俺を死の淵で支える誰かが居た。
戦いの最中、痛みを和らげながら俺を明日へ押し戻そうとする誰かが居た。
誰かが、居た。
誰かが。
――。
――。
――。
だれ、かが。
――。
いたんだ。
「――」
「――」
「――」
「――」
声にならない慟哭が、肺を焼く。
槍も、ラケットも、ハンマーも。
全て、空間に浮かぶ。
誰の手にも握られることのない、冒険の証は、
こんなにも無残に散っていく。
地に伏した視界の端で、俺の好きな奴らは、
皆、もう、旅を重ねる事は出来なくなっていた。
もう、二度と、二度と。
彼らがこの世界の土を踏み、旅路を重ねることは叶わない。
「――」
涙が止まる事はなかった。
その時の俺は、ただ好きな奴らの死を目の前にして、
感情の昂りを抑える事など出来なかった。
それでも身体は言う事を聞かず、
ただ頭上で浮かび上がる邪悪に翻弄される他なかった。
「哀しき事だ。ミオ様からの授かり物を、このラモエに献上する事になるとは」
「最高の物語ではないか」
「愚かなクラヴァットの民よ。幾重にも仲間に助けられ、辛うじて紡いだ命の感想は如何かな?」
「――」
「声を出す事さえままならぬ半死半生か」
「この者らは哀しき思い出を抱えていた。実に美味なる思い出である」
「だが惜しい事に、このラモエを前にしてこの先を築く事は出来なくなってしまったようだな」
「クラヴァット。キサマはどうだ」
「過去にも今にも未来にも、キサマは希望とやらを抱えて生きている」
「その希望がある限り、キサマの思い出に我が美食が浮かび上がる事はないだろう」
剣を握らなければならない。
そうでなければ、キャラバンである俺達の誰か一人でも村に帰らなければ、
俺は、俺達の希望は――。
「――そうか。尚も立ち上がるか」
「それほどの活力を見せし者程、崩れ落ち往く様は美しい」
「なればなけなしのキサマの思い出を――」
「……」
「……ふむ」
「帰りたいか?自尊心をも捨て、己の旅路さえ捨て」
「故郷に帰りたい。そう願うか?」
希望を、持ち帰らなければならない。
俺は一人の人間として旅をしてきた。
だが、今は違う。
もうクリスタルキャラバンとしての使命を担い、
父親としてあの村に帰らなければならない。
そう思うが故に――。
「み……のがし……てくれ……」
「たの……む……」
仲間達の死は、俺を酷く変貌させてしまった。
あらゆる困難に立ち向かい、出来ないと思った事さえやり遂げる。
それは俺の中枢にあったものであり、決して変える事の出来ない核だと思っていた。
だが、その核は崩れ去り、自身の抱く理想を捨て、感情を殺して、
この邪悪に命乞いをしなければならなかった。
「よかろう」
「このラモエ、キサマに最大の恩情をかけよう」
「だが……キサマがミオ様から貰ったしずくは、我が供物として貰い受ける」
「な……」
「我が聖域からキサマを追いやる」
「もう二度とこの地に足を踏み入れることもない」
「せいぜい、哀しみに満ちた思い出を紡いでいけ」
満身創痍となった俺の身体が打ち捨てられたのは、瀕死となったメテオパラサイトの前。
剣を握る力さえままならず、付近のケージのほんの僅かな光に当てられながら周囲を見渡す。
……仲間の亡骸は、存在しなかった……。
埋葬さえ赦されない、嗜虐の心得。
それに従う他なかった、自身の無力ささえ、最早感じる事はなかった。
ただ、涙が溢れる。
辛く、険しく、立ち直れない程の哀しみ。
俺にはわからない。
今、俺の目の前にあるケアルの魔石。
仲間の意志が俺に答えてくれたものなのか、
ラモエがバカにするかのように置いたものなのか。
俺はもう、その情緒さえどうでもよくなっていて
「――ッッッッッッ!!!!!!」
ただ拳を握りしめて、空に等しいケージの横で叫ぶだけだった。
ケアルの魔石で自身を癒す。
この時、俺は心を癒せる魔法があればとどれ程願っただろうか。
そして同時に、辛い記憶を消去する魔法さえ望んだ。
「……」
それでも、ケージに籠った嘗ての温もりが、
俺に僅かな冷静さを保とうと声をかける。
「……」
瀕死のメテオパラサイトに視線を向ける。
今此処で、剣を奴に突き立てること。
それが世界を救う事であり、希望を届ける事。
だが、勝てる保障はない。
ラモエの存在は、俺にとって心根の深くにまで恐怖を突き立てており、
俺は何よりも、俺にとって大切なものをこれ以上喪いたくなかった。
一刻も早く、このラモエに奪われたミルラのしずくを集め直さなければならない。
ティダの村を護らなければならない。
だから、俺は保身に走った。
「……帰らなくちゃ……」
力無くケージを抱える。
治したはずの脚は、ただ焦燥に駆られて傷を隠し続けた。
一人でミルラのしずくを集める。
ティダの村のクリスタルの輝きが潰えるまで、あと一ヶ月。
ただ我武者羅になるだけであった。
俺は故郷の存続をかけて、身体の傷を、心の傷を無視して一人で奔走せねばならなかった。
デーモンズコートの入り口。
「……」
仲間の居ないキャラバン。
俺は、この孤独の中。
「はぁ……!くっ……!」
一人でダンジョンを攻略する。
襲いかかる魔物の数々。
「ちっ!ミルド=デリス、スイッチ――」
亡き者へ声を掛ける。
感情として芽生えるのは、哀しみだけ。
ズシャッ!
「あがっ……!」
「――クソったれが……!」
ガッ!
「トルブジータ、ケアルを――」
「――」
「――」
「ケアル」
分かっているのに、追い求める。
「橋を下ろさなければ……」
「ラ・セナ、登って――」
「――」
「――」
「迂回……しなければ……」
孤独の中、突き進む。
デーモンズコートの最奥地。
ミルラの樹の麓で、俺は生傷に手を添えながら、しずくが一つ貯まるのを見届ける。
やっと一つ、手に入れた。
俺は、今も尚死にそうになりながらもキャラバンとして歩く。
帰らなくてはならない。
俺が帰らなければ、ティダの村は消えてしまうから。
「……」
「お手紙クポ」
静かにモグが俺に手紙を差し出す。
他に渡す相手が居ない事を悟ると、モグは気まずそうに去っていった。
「……」
あなたの帰りをずっと待っています。
黄金畑を眺めていると、村人の皆が笑顔で畑を歩いています。
皆幸せそうに、希望を持って生きています。
私は、この人達の為にもクリスタルキャラバンだった日を、
今でも思い返して、力強く最後まで生きて往こうと思います。
レビ、あなたが私をクリスタルキャラバンだと言ってくれた手紙。
本当に嬉しくて、しましまリンゴのパイを五つも作っちゃった。
ね、だから。
私が眺めるこのティダの村を、はやくあなたとホーリーと三人で眺めましょう。
愛しています。愛しい私の希望よ。
―テトの手紙―
「……」
帰る理由は明白だ。
仲間の死は俺にとって苦痛であり、試練。
このミルラのしずくの一滴を溜めるのでさえ、常に影を追っていた。
だが、俺が追っていた影達の過去を振り返る。
彼らは自らを喪っても尚、俺に下を向けと言うだろうか。
「……」
決してそんなことは無い。
俺の好きなあの連中は、間違いなくバカで、どうしようもないぐらい楽しい奴らだったから。
でも、時々現実に向き合った言葉を乗せる。
だからこそ、キャラバンの旅路で自分たちを喪ったとしても、前へ進めるように励ますだろう。
「……」
一刻も速く帰らなければならない。
俺は剣とケージを握り、走り出す。
……テトへの手紙を……書くべきだったろうか……。
「グルァ!」
魔物が襲い掛かる。
ザシュッ!
倒す。
「はぁ……!はぁ……!」
傷を抑える。
「ガルッ!」
ザシュッ!
倒す。
「くっ……!!はっ……はぁ……!」
ケージを抱える。
歩く。
「はぁ……!はぁ……!」
周りを警戒する。
「くっ……クソ……ッ!」
「「「グルル……」」」
ケージを置く。
剣を握る。
振るう。
倒す。
持つ。
走る。
倒す。
持つ。
下ろす。
倒す。
倒す。
持つ。
下ろす。
倒す。
持つ。
走る。
下ろす。
倒す。
持つ。
……。
……。
擦り減りながらも俺は歩んだ。
次なるミルラのしずくを求めて、
ティダに一刻も帰る為に。
ミルラのしずくを溜めている最中、俺は腰かけた。
「……」
手元の獲物の手入れを、気力で行う。
「……」
「……」
「……」
……。
あぁ……くそ……。
割り切れるかよ……。
受け入れられると思うかよ……。
「……」
武器の手入れを辞めた。
俺が信じて疑わなかった、訪れる事のない受け入れ難い未来を、
俺の夢物語を聞いてくれる奴らが、
もう存在しない事を、改めて知ったから。