カオスドラマX

Gray Traveller / 622

622
わったん 2026/05/04 (月) 21:55:52 修正 >> 614

都市に蒔いてきた種。
行路を歩み、方向標を立て、流れに抗い、
あらゆる思い出を咲かせてきた彼。

『……何故だ』
『お前は、俺の知るお前は』
『綺麗ごとの中にある汚い感情があったはずだ』
『何故』

その行路はどれも苦しく、美しく、
彼を彩る一つの旅路であった。

「……俺は、見送られた側の人間だからです」

多くの寄り道に、彼が示した旅路の途中の脇道に、
都市で関わってきた人々が立つ。

「レビさん、俺はいい思い出をたくさん抱えているんだ」
「その思い出を抱えられるように、生を宿せたのは」
「貴方のお陰」
「だが、この都市を歩む俺は、俺自身の利己で成り立つ物語」
「根源に浮かぶ思い出は、見送ってくれた思い出は」
「俺のこの物語を喪う事を」
「是としないのは分かっている」
「――だからこそ、俺の取る選択に」
「――きっと、怒るんだろうな……」

故、その瞳に宿された決意の揺らぎは、
レビにさえ捉える事の出来る恐怖の前兆。
だが、その恐怖さえ、彼は受け止め、
言葉を紡ぐ。
瞳を、向ける。

画像1

『……』

「……今、貴方が話しているのはティパの村のクリスタルキャラバンとは違う側面」
「都市の人間として此処に立つ、ガンパウダー工房フィクサー」
「透明の軌跡」
「……里帰り」
「俺の声を聴くのは後だ」
「今は、その胸中に秘められた感情と」
「俺の湧き出す憂鬱への前進を、抑え込もう」
「……」
「今日、都市の星が一つ沈むことになる」

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