カオスドラマX

Gray Traveller / 634

634
わったん 2026/05/18 (月) 21:32:07 >> 633

「場所が違うだけだったんだ」
「貴方は故郷で」
「俺は都市で」
「その過程で心の縁を彩った」
「だから俺は、決して都市を捨てようとはしない」
「俺の意地」
「本当は貴方の手を取りたくて仕方がない本能が、俺の心を抑え込もうとするけれど」
「……」
「全部、いい思い出にしたいから」
「俺は貴方を救う事にしたんだ」

『……』
『どういうことだよ……』
『何しようってんだよお前は……』
『俺を救うって事は……都市を消す事だぞ……』
『俺が何するか、分かってんのかよ……』

「貴方が世界統合を成す必要は無い」
「貴方は帰れるんだ」
「ティダの村に」

『は……どうやって帰すってんだ……?」

「このE.G.Oは、ラモエから抽出された自我の塊」
「都市と故郷を繋ぐ川へ、釣瓶を垂らしたが故に出来た産物」
「皮肉にも、俺が都市で紡いだ思い出も、故郷の思い出も綴られている」

『……お前の思い出……』
『お前の記憶となる、核か』

「レビさん」
「旅人は、胸に思い出を抱えて生きていくだけでなく」
「忘れない為に記録を持つ事だってする」
「貴方も旅日記を持ち、手紙を書き、思い出を残していったと思う」
「俺もそうだ」
「いつだって思い出は傍にあり、忘れないようにと記してきた」
「思い出は、過ぎ去った過去じゃない」
「これから出会う困難を打ち砕く為の、最も鋭く、最も温かな剣だ」

『――お前――』

「都市での出来事も例外じゃない」

『……』

「これは、俺の思い出そのもの」
「確かに外郭において、ラモエから抽出されたものかもしれないが」
「きっと、本当の抽出元は、もう片方の『思い出の管理人』なんだろうな」

――旅人の思い出(クリスタルクロニクル)
ティダの村という絶望の園から誘われる触媒であり、
ユンフの思い出を書き綴った故郷の冒険記。
其処には彼の軌跡が描かれており、
一人の少女を想う筆先が散りばめられていた。
それらの字は全て『思い出』として保管されている。
ユンフが冒険で得た彩り、蒔いた種、方向標。
あらゆる感情が乗った、彼だけのE.G.O。
外郭の研究所、L社の前身となる嘗ての存在。
その時代に培われた技術で、ラモエから抽出されたE.G.O。
いや、正確には、ラモエと共に誘われた思い出の管理人である、
『ミオ』から抽出されたE.G.Oであった。

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