カオスドラマX

Gray Traveller / 691

691
わったん 2026/07/12 (日) 22:48:26 >> 685

「ツヴァイ協会の方ですね」
「ガンパウダー工房フィクサーのユンフです」

決して明るい言動ではない。
だが、この黒き昼においても、決して揺らぐことが無く、
自身の歩むべき方向を見据えた瞳は、私にとってこの上なく眩しかった。

「L社の巣内の保護状況の偵察にきました」
「ツヴァイの方が誰も外を出歩いていなかったもので」
「ですがこちらの公園には居たようですね。安心しました」

「……今は、人と話すような気分ではない……」

「絶望に染まる停滞の影」
「人は誰しもが虚ろとなり、動かなくなりました」
「ですが、貴方は此処にいる」
「それも、ツヴァイの制服を着て」

「……?」

「俺としちゃ、直属の親組織みたいなものなので」
「貴方のように『信念』に基づいて、本能的に保護活動をしている方が居らっしゃって」
「よかったな、と」

不思議な感覚であった。
絶望にしか思えない日々の中で、突き刺さるような光を持つ青年。
その姿は見覚えがあり、『透明の軌跡』であることをすぐさま認識した。

「例え巣が崩壊しようとも、何かを護ろうとする姿勢」
「貴方にとっての翼が、此処なんだろうなって、思ったんです」
「そうしたら、自然と声を掛けてしまいました」
「……ですので、情報提供については無理強いはしません」
「どうか、御無事で」

そうして彼は、誰かを護る意志を持った鋼鉄を背に、
この区域の安全確認をするかのように、去って行った。


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