カオスドラマX

Gray Traveller / 699

699
わったん 2026/07/19 (日) 22:20:20 >> 696

『進路……か』

「都市と向き合うことに疲れて、アンタは逃げる事を選んだんだろ」
「逃げる事を選び、その逃げ先を喪っちまったから、こうして感情の解れが発生した」
「その感情が司る彩りを、俺は認識することは出来ねぇ」
「認識するには、俺には過去が無いから」
「アンタが示した退路を、俺は持ち合わせていないから」
「アンタに投げかける言葉の全ては、その過去に想いを馳せてやるにはあまりにも薄っぺらだろうな」
「でも、だからといって、今を生きる俺が、今を生きるアンタに言葉を投げかけちゃいけないなんてことないだろ」
「少なからず、今、此処を護ろうっていう意思があって、ねじれてでも生きてんじゃねぇか」
「死ぬ道しかない退路に縋るのは、その時がアンタにとっての最大の幸福だったからだろうけど」
「もう訪れもしないその時に身を委ねるのは、死んだも同然だ」
「それなら、生きてみようって、思わねぇのか」

『……都市において、生きる事とは苦痛を共にする事』
『真の意味で生きる事は、今『』が説いた進路にあるのだろうな』
『絶望に染まったとしても、それでも前を向いて生きる事』
『だが、そんな器用に生きる事の出来る人間は、『信念』があるはずなんだ』
『私が掲げた信念は、とても小さく、とても脆い』
『紙屑のように細かく裂かれた淡い幻想』
『向かう先も、結局は都市に向き合わない逃げ道』
『それなら、私は此処を護る街灯となる』
『退路が、私の場所』

「……」

『紡ぐ言葉は借り入れたものではなく、自身から発せられた感情によって生まれた物語』
『言っただろう。私は退路だと』
『透明の軌跡。進む為には、過去が必要だ』
『それは、『貴方』が示した都市への反骨』
『ならば私は『君』に示すのだ』
『私が此処に残るのは、私がこの姿になったのは』
『その過去に縛られるが故であることを』

「……」
「……教えてくれ」
「何故、俺を導く言葉を投げかけるか」
「アンタはねじれているのに、何故……」

『この公園に足を踏み入れたのだろう』
『街灯に照らされているのだろう』
『此処が、私にとっての『翼』だから』
『其処に足を踏み入れている君も』
『私にとっての退路であるが故』

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