カオスドラマX

Gray Traveller / 711

711
わったん 2026/08/09 (日) 20:27:16 >> 710

「それで、私の元に来たということは」
「ねじれ鎮圧の報告だけではなく、他に聞きたい事があるのだろう」

「今、この時」
「こうして俺とアンタが話している時間は」
「互いのとっての横道になってんだろうか」

神妙に語る彼の口元。
声音こそ平静を装っていたが、その視線には僅かな逡巡が宿っていた。
まるで、自分の言葉が正しいのかすら分からない。
それでも誰かに問い掛けなければ、次に踏み出すべき場所すら定められない。
そんな有様だった。
ダンクはその表情をしばし見つめる。
そして、クッ、と。
喉の奥で息を零すように笑った。

「私がそんな事を知ると思うかね」
「透明の軌跡」
「私達は親指だ」
「他者に対する道は、上下にしか無い」
「礼節と階級が全ての世界」
「見るべきは天辺への恒久的な欲望のみ」

「難しいもんだな……」

「あぁ」
「だが、それは親指としての私だ」
「過去の君は、私個人を絆す程の過去を有していた」
「だからだろうな」
「今の君の、過去として背中を支える事が出来るのであれば」
「それもまた、私個人の欲望と成り得る」

「……アンタ」
「結構好きだったろ。『ユンフ』のこと」

「礼節を弁えた青年であり」
「礼節を重んじるフィクサーであり」
「礼節を取り除いた友」
「私は勝手にそう認識している」
「フッ、君とは大違いだな」

「そうかい」
「……ねじれの鎮圧は完了した」
「図書館の情報、再認識って形にはなったが、助かったよ」

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