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点と線。
それは、あまりにも単純な対比だった。
点描派にとって、世界は無数の点によって構成される。
細分化され、観測され、配置され、そして一つの像へと統合される。
だが、線は違う。
線には始点と終点がある。
その二つを結ぶために、途中という時間が生まれる。
ユンフが突き付けたものは、まさにそれだった。
過去から現在へ。
そして現在から未来へ。
途切れずに続いていく、一本の線。
「思い出話に華を咲かせながら、自身の芸術が過去にある事を説き」
「そしてその過去の為に残酷な今を歩み抜く」
「その光景を、私達都市の人間に、語り、そして見せてきた」
ドルドインの声が、ほんの僅かに柔らかくなる。
「絶望的な世界観の中でさえ、利他的に生き抜く事を選んだ彼が」
「ただ一人の少女の為に、利己的に生きる事を選んだあの場面」
「えぇ」
「あのエヴォカティブ(喚起的)な芸術は、彼の色だけであり、そして少女の色でもありました」
「……」
ギャラリーには、無音という静寂だけが残った。
「私はその記憶を突き付けられ、彼の芸術の主観に酷く影響されましたよ」
「こんなにも優しく、一途であり、希望溢れる芸術」
「凪いだ風を抱きしめるような、淡い空気を纏った憧憬」
「それを彼は描いてくれたんです」
ドルドインは踵を返し、作品群の一つに手を掛ける。
手つきは異様なほど優しかった。
先程まで作品を撫でていた指先とは違う。
壊れやすいものを扱っているというより、
そこに宿る何かを、決して傷つけてはならないと理解している者の手つきだった。
額縁に嵌ったその画材を手にとり、透明の軌跡の元へと戻って差し出した。
其処に映されていた絵画は、歪な線で、着色も定かではなく、
技巧だけを評価するのであれば、とても上手いとは言えない。
だが、その一枚の絵を見て、透明の軌跡は
「――」
ただ、ただ見る事しか出来ずにいた。