カオスドラマX

Once upon a time, there lived. / 7

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レイ・ローゼの去り際に見せた王子の顔が脳裏にチラつく。

うさぎのぬいぐるみをそっとソファーに畳んでから、どの言語にも該当しない言語の枠に収まらない呪詛を敷き詰めた金切り声を上げた。

血が吹き出すほどにぐしゃぐしゃに髪をかきむしり、皮膚は容易く千切れ顔の半分が"メッキが剥がれ黒一色の中身"が露出する。

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うううううウウウウウウウウウウゥゥッゥゥゥ……レイローゼレイローゼレイローゼレイローゼレイローゼ
 キライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライ
 キライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライ
 キライキライキライキライキライキライキライキライキライキライキライシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ」

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瞼を失い眼球が露になった左目からは体内の水分をそこへ全て注ぎ込んだかのような野球ボール大の水滴が、ピッチングマシンのような速度で床へ水の豪速球を連投し続けた。

上体を振り回し、壁や床、狙いすましたようにテーブルやレンジの角へ側頭部を叩きつけ、赤に限らず、ピンクやシアンなど色彩豊かな体液を傷口からぶちまける。

文字通り"身を切る"ような思いの丈をぶつけられる場所全てへぶつけ終えると、

ソファへうつ伏せに突っ伏し、それからまた"人並み"に泣きじゃくった。

裁縫用に携帯している鋏をクッションへ何度も突きたて、虹色の液体が溢れて萎んでは膨らみ、萎んでは膨らみを繰り返すそれを力尽きるまで殺人ごっこしていた。
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そうしてきっちりコンマ数秒のズレなく24時間経過すると、寝返りを打ち、天井を仰ぎ見る。

半壊していた顔は何事もなかったように元のビスクドールのような浮世離れした美少女像に戻り、ポッカリと空いた穴のような瞳が無気力に天井を見上げていた。
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「あーあっ でもヴィナミスの友達なのよね。 よーし惑星アメーバ滅ぼしてあーそぼ」

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そうして彼女は再びうつ伏せになり、サイドテーブルから携帯ゲーム端末程度のサイズ感の"箱庭"を手繰り寄せる。

頭に思い描いたものなのか、仮想の砂場には仮想の文明、仮想の世界が、しかしてそこにある生命は本物の世界を生み出し。
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「お前たちは死ぬためだけに生まれたのよ、えいえい」

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などと意識はそぞろにうわ言めいた何かを呟きながら、エアパックを潰すようにして一人一人丁寧に"プチプチ"し始めた。

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「うわー……すっっっごいつまんな~い…………」

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