カオスドラマX

Voyage / 16

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開かれたドアから入ってきたのは、まさに話題の中心であった転入生その人であった。

ショウ「チッ……」

教室での生徒たちの声が聞こえていたのか、それとも好奇の眼差しが目障りなのか。ポケットに手を突っ込みながら不機嫌さを隠そうともせず、ズカズカと教壇の近くまで歩く。
黒板の前に立った小さな転校生は生徒たちの方に体を向けるも、ポケットに片手を入れたままで視線は生徒たちに向けずそっぽを向いている。

ほとんどの生徒にとっては、嫌な予感・的中────と言ったところだ。明らかに友好的ではないその態度は、大人であれば反抗期の子供といった風で可愛らしく見えないこともない。
だが、彼らはまだ高校生。しかもその体躯とは裏腹に自分たちよりよほど力を持っている存在がそういった態度を取っていれば、少なくとも面白くはない。ある者は反感、ある者は恐怖や不安を覚えてしかるべきだろう。

だが、そうでない存在も居た。

「へぇ…… 面白くなりそうじゃん♪」

波越 海翔(なみこし かいと)────日焼け肌で少々軽薄そうに見える男子は、頬杖をつきながら興味深いものを見る目でショウを見ている。
警視監であるお堅い父親との確執を持つ、サーフィン好きの自由を愛する少年である海翔にとっては、ショウの周囲に媚びない態度や波乱を呼ぶ行動は好印象ですらあった。

そして、もう1人────

「ふふ……素晴らしい。なんて美しいんだ────────そう、僕が!」

黒井 楼珠(くろい ろうず)────肩まである髪をかき上げた中性的な美形の男子は、手鏡に映る自分を見ていた。
徹底したナルシストである彼は、周囲のざわめきもショウの態度も関係なく自分を褒め称えていたのだ。

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