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Day Summer 8:30 PM とあるバーにて
帰途につく者、付き合いで店を廻る者、たまの息抜きを経てから帰ろうとする者、まだ働き盛りの者。彼ら の総体の主たる者の名であり、今の身体の主導権を握る男の名でもある。
繁華街の喧騒からおよそ近い所にあるそのバーで、青年が一人その有り様をぼんやりと眺めていた。
名をツキシマ。最も、それは
彼は宿もなく、安住の地も持たず、そしてこの世界そのものへ大いなる不信を抱いた難儀な男でもあった。
命を奪われること、実に四度。しかしながらこうしてこの場に居るのもまた事実だが、それは輪廻が彼を縛り付け続けているから。
一度は偶然でも、あとの三度は酷く絶望的な最期であった。どうあっても勝ち目のない存在が己を付け狙っている、絶望の現状である。
では何故そんな彼が、このような繁華街近くのバーで呑気に酒を浴びているかと言えば、馬鹿らしいからであった。
常にいつ襲ってくるかも分からない、しかし逃れる術もなく、向こうがその気になればいつでも死ぬ。
主導権は完全にこちらに無いのだ。他にも幾つかの理由はあろうが、だからか彼は少し開き直っていた。
「……馬鹿らしい。」
そう、馬鹿らしいのだ。最終的に隕石があなたに衝突します!と言われたとて、それがいつなのか不明。とあらばそれに一生ビクついて息抜きすらできない、それは馬鹿らしいと。
無論、これはその状況だけを指して言った「馬鹿らしい」ではない。多くの含みがそこにはあった。
「はぁ―――師匠達は、あいつはどうしてるかな。」
"せめて彼ら彼女らが巻き込まれていませんように"。彼がふと願うのは、この世界に来て唯一良かったと思える相手の無事である。
いくら坊主憎けりゃと言いはすれども、袈裟までは憎めない人並みの半端な善性があった。彼はそういう人間なのだ。
「……ダーツでもするか。」
このバーに併設された遊技場には、いくつかの種類がある。その中から無作為に目が向いたそれへ赴いて、遊びに興じる。
酒はいい。溺れている内には忘れたいことから目を背け、少しだけ気が楽になるものだから。
複数人プレイ機能もあるようだが、無縁だろうなとぼやき彼はそっと一人プレイを選択した。