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「 ハァ……ァ……ハァ……ッ……!! 」
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もはや希望など存在しない
それでも、ある一人の少年だけは、決してそれを捨てようとしなかった
たとえその身が滅ぼうとも―――実際に肉体のほとんどが死滅したとしても―――心まで折れることはない
そんな少年を嘲笑うように、黒衣に身を包む一人の男が大群の中を掻き分けて彼の前に姿を現した
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「 "過去"を変えてきたそうだな ―――――― 『 フレイミス・ティルク・カオス 』 」
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男は右目に付けられたモノクルを介して眼前の少年へ嘲りの眼差しを送る
その眼光が写し取るのは、ヒーローを彷彿とさせる襤褸切れのマントを羽織った、金髪の少年
だが…その首から下は、ヒーローと呼称するにはあまり似つかわしい相貌ではなかった
その全身は近未来的な装甲に纏われ、失った肢体を埋め合わせる義手(ガントレット)・義足(ソルレット)が露わとなっている
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「 ハァ……ハァ……―――――『 グリオン 』…ッ!!
俺は…その"過去"に救われた…!今度は…ここで俺の意思を示す…ッ!! 」
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その若さに反比例した物々しい外見
だが、黒衣の男の冷徹な瞳とは対照的に、少年の瞳は生気の炎に満ち溢れていた
未だ希望を忘れることのない、強い眼差しを―――――
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「 だが、そんな希望は認めない 」
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少年フレイミスと相対する「グリオン」と呼ばれた謎の男は、歪に口角を吊り上げる
男の背後に並列する人型機械生命体が無機質な起動音を立てて、
フレイミスただひとりに銃口を一斉に突きつけた
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「 今度こそ…お前をぶっ飛ばして……この世界を救う。
『 親父 』が託してくれた、俺たちの世界を―――― 」
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そして少年は拳を強く握りしめ、その全身から蒸気を噴き出して黒い群衆へと駆け抜ける
これは…頼れる仲間も友人も失い、希望もない未来でたったひとり戦い続ける…
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ある小さな『 英雄 』の語られることのない物語――――――