「そうですね。確かに、試す価値はありますね」
「でしょう? だからさ……」
そんな時だ。突然大きな地響きがして、地面が揺れた。
「これは……?」
「まずい! カオスドラマが暴走してる……!!」
「ぼ、暴走って!?」
マスターさんがそう、焦った顔で叫ぶ。暴走って一体。やっぱり、記憶に鍵をしないと世界のバランスが崩れて崩壊するってのか。
「タイムリミットまでに、記憶に鍵をかけなければ。やはり、他の手段を探している暇などなかった……!」
「……いや。やってみなくちゃ分からない。記憶を『消す』ことなく世界を救う方法! 僕は既に思いついてるんだから!」
「……他の場所に記憶を移す、という奴ですか。そのようなことできるのですか? できるとして、どこに……」
「僕に、その目処がある。僕を信じてくれ。僕は、この混沌とした世界を救ってみせる!」
「わかりました。……ならば私も、その目処に賭けましょう」
マスターさんはそう言うと、僕の手を取る。そしてそのまま僕たちは、鍵穴の前に急いだ。
「……記憶に鍵をかけるんじゃなくて、その逆。鍵を開放して、僕にその『記憶』を渡してくれ!」
「どこにやるつもりなのですか?」
「それは……未来!!」
そう。僕はこの世界を今脅かしている『記憶』たちを、あの白い世界に持ち帰ることによって、歴史を繋ぎ止める記録《ログ》とすると同時に、今のこの世界を救おうと思いついたんだ。
「……よく分かりませんが、あなたを信じます」
そう言うと彼は、鍵穴に鍵をさし込む。僕はその鍵に糸を絡ませると、それを引き絞る。
そしてそのまま……開放した! 世界が眩い光に包まれていく。マスターさんはそれを見届けた後、僕に言ったんだ。
「……カオスドラマは私がなんとかします。あなたは、早く行ってください!」
「わかった! 頼んだよ!!」
僕はそう言って、白い世界へと飛び込んで行ったんだ。全部未来に連れて行く。何も忘れさせない。
……僕は、必ず、未来にこの記憶を繋げてみせる!!