見れば見る程哀れな風体の建物へと目を向けながらそう呟いて、
軍用レインコートのフードを目深に被り直す。
間隔を空けて真後ろに着いて来ている今回の仕事の相方に向かって振り向く。
「間違い無いですねぇ……丁度、角の向こうで堅気でも公僕でもない警備が立ってますし」
これから始める事と釣り合わない、間延びした声。
だが、ここからでも彼女の言う通り、角の向こうの人物が提げているであろうライフルの先端だけが見える。
見えているのは銃口だけだが、それでも持ち主がまるで警戒をしていないのが見て取れた。
あとは、人数。近くに誰かが居るのなら、不用意に手を出したくはない。
そんな私の考えを見透かす様に、ラトニカが一瞬だけ角の向こうに顔を出した後、私に口を開く。
「うん、一人ですね。の~んびり、もたれ掛かってるみたいですので、やっちゃいましょうか。景気よくいっちゃってくださぁい」
「そうか、なら……丁度良い、私がやるところ一度見たいって言ってたな、早速片付けて来るよ」
駆け出し、左手を腰へと伸ばす。ナイフを鞘から抜く。逆手に持ち替える。
足音は、雨音で搔き消える。
角を曲がり、その向こうで壁にもたれる人物を見る。
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