カオスドラマX

罪業の刻印 -ブリーフィング- / 7

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ラヴィエベル「これらの物資を世界政府がテロ抑止の名目で独占。でっち上げた『架空のテロ組織』を結成し加盟国を程よく『威嚇』する為独占した核兵器・魔術兵器の開発、打ち上げ実験をフェイクニュースの電波に乗せてほのめかし『政府軍』の需要を強固にしようとしている」

ラヴィエベル「けれど、それが本当の『対世界政府組織』を結成させるきっかけになるなどとは想像していなかったわ」

ジギー「対世界政府……バカな、それこそ自殺行為だ。商人の集合体が一国を単独で滅ぼし得る将校を複数人抱えた勢力に太刀打ち出来る筈がない」

ラヴィエベル「今世の戦争は情報戦よ、事実世界政府が打った『先手』は『テロリスト』というレッテル、情報ソースをクリエイトし全世界の攻撃対象とすることができた」

ラヴィエベル「『J』もまた、同様の手口で対世界政府を企てている。鯨が飲み込んだものがゼペット爺さんとは限らない、胃袋に巣を張り栄養源を横流しする毒蜘蛛であったとしても……それが腹から脳を食い潰したとしてもおかしくはないのよ」

ジギー「自分の腹はかっ捌けないからな……。それで、リトルベニスの連中は何を仕込んだんだ。毒にしたって種類があるだろう」

ラヴィエベル「『需要』の喪失よ。各国は世界政府に何を求めている?防衛費を払ってまで政府軍からの派兵を求める? 推測でしかないけれど、おそらく国内に自衛力がないから、或いは世界政府が可能性を示唆する『仮想敵』に怯えているからか。何にせよ、必要がなければ世界政府を……いえ政府軍を求めない」

ラヴィエベル「だから『J』は、自らの領土を脅かす不浄なる族に怯える国には、それらを焼き尽くすインドラの矢(核)を与えた。 自らを守る強固な兵士に恵まれない王には、報酬さえ与えればへり下る優秀な猟犬を与えた。 世界政府の与える供物より、使者、卯より、安価で強力な『非世界政府製』の『抑止力』を分け与えることで『政府軍』の需要を奪うこととした」

ラヴィエベル「公的秩序への依存が、恐怖に突き動かされてのものであるならばその恐怖を取り除く。この際虚勢でもいい、一国家が『世界政府の庇護は必要ない』そう声を上げるのを待っている。世界政府は不要な武器で、不要な戦力で、不要に富を搾取し秩序を取り仕切るだけの暴君だ。そのように、国際社会の要という概念を揺るがそうとしている」

ラヴィエベル「と、言われているわ。実際のところ『J』の真意はどうあれね」

ジギー「まるで地球の東インド会社だ……。信仰を上回る富、企業によるカトリック支配への打倒といったところか。時代錯誤もいいところだが……なるほど、武力制圧よりは有効な手段かもしれない。つまり、『J』が火の国に市庭を開いたのは……」

ラヴィエベル「この国が『非世界政府加盟国』の代表格であり、そのネガティブなネームバリューの被害者として最も知名度が高いから。リトルベニスには、同じ境遇にある各国……いえ、国だった部族達の拠り所でもあり、打倒世界政府という経済戦争にビジネスチャンスを見出した目ざとい商人達が集っている」

ラヴィエベル「以前にも世界政府に反旗を翻したノーマッドという傭兵部隊はいたわ。代表は『ジョン・ワイズマン』……だったかしら。彼に比べて、Jは『もっとうまくやる』でしょうね」

ジギー「やれやれ……つまりあれか?今から俺たちが接触しようとしているのは……世界政府が恐怖に駆られ抑止力を求める国家の集合体であるならば、それらを脅かそうと集まった『反政府商人』の集合体というわけか。先が思いやられるな」

ラヴィエベル「そうそう、リトルベニスへ用向きがあるのだったわね? 物資の出入荷共にブラックノイズの梱包材が扱われる。輸送車に荷物として侵入するのが有効ね」

ラヴィエベル「ただ、先に説明した通りリトルベニスは『独立商業国家』。国である以上そこには秩序が存在し、これに反する者は袋小路の中で商会の人間全てを敵に回すことになる。だから予めリトルベニス国内のルールを教えておかないとね」

ラヴィエベル「ルール①『情報共有による取引に重きを置く』。リトルベニス商会に加盟する商人は様々な裏取引などの情報の共有を義務付けているわ。これによって『J』は多額の投資をしながらも商人から『情報』という利益を得ているの。 金銭による取引が可能な商品もあるけれど殆どがリトルベニス外部の情報を提供し、代わりに商品を受け取るという仕組みね」

ラヴィエベル「情報で得られる商品は物品に限らず『通貨』も含まれるわ。商人は裏社会でのみ有効な『データ』を外部で適応可能な『リソース』ヘ変換。リトルベニス側はデータを元に様々な手段を講じて収益を上げる。 一見割食っているように見えるけど、データを有効活用できない商人が、活用できる『J』へそれを提供し、リトルベニス全体の繁栄に貢献できる。もちろんリターンは品物として商人へ還元される。ウィンウィンな関係だし、これを実際に可能とするのが『J』の手腕というわけよ」

ラヴィエベル「ルール②『リトルベニス内の武力行使を禁ずる』 例外を挙げたらキリはないのだけれど……商人の安全を保障することで情報共有を確立しているリトルベニス内で武力行使を行えば、『J』の私設部隊をはじめとした商会に登録する傭兵や私兵全てを敵に回すわ。リトルベニスは聖域、この禁を犯した場合この星の反対側まで移動しても追ってくるでしょうね」

ラヴィエベル「『ただし防衛行為を例外とする』。 まあ無論よね、警備兵の目がないところで万が一何者かの襲撃を受けた場合には身を守ることが何より優先されるもの」

ラヴィエベル「ルール③『リトルベニス国内では世界政府を初めとする外部国家機関との連絡はできない』。これに関しては破りようがないわね、何重にも複雑に掛けられた情報防衛機構が施されている。外部との連絡は完全にシャットアウトされているわ」

ジギー「一度侵入すれば外部からの支援は期待できないな。 一度内部から状況を確認し、一度帰投するのが最適か……」

ラヴィエベル「私はあくまで黒い箱に梱包する運び屋。スパイじゃないもの、お届けした後のお荷物のことは考えてらんないわ~~」

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