泰山不要欺毫末
顔子無心羨老彭
松樹千年終是朽
槿花一日自為栄
何須恋世常憂死
亦莫嫌身漫厭生
生去死来都是幻
幻人哀楽繋何情
白居易 - 放言五首 其五
穏やかな人生というものは決して存在しない。どのような人生であろうと良と不良を幾度も繰り返すものだ。そしてこの起伏の激しさは誰にも想像できない。それが悔いの無い一生を形作ることもあれば、自死に直結することもある。しかし万物はその終わりがいつかも知らないまま生き続けなければならない。
古き広東に現れた閏は謎多き人物だ。あらゆる個人情報は焼却され、過去を知る者は同様に何かしらの謎を抱えているか、既に老衰などによりこの世にいない。そして連合王国も彼女の古巣である中華民国もその存在を完全に否定している。しかし実態は違う。好奇心に駆られた英国人と中国人は断片的な情報を一つに統合した。
中華民国国民革命軍では1937年から、連合王国王立陸軍では1949年から存在が確認されている。しかしそれ以前から広東省で目撃例があり、少なくとも清の時代を知っていることは確かだ。連合王国においては研究記録とベトナム戦争、フォークランド紛争などの従軍記録、そしてMI5副長官時代の記録が確認されている。SASの一員だったという噂もあるが、おそらくそれは虚偽だ。一部の者は彼女がウォーカー前首相の汚職に関する情報をリークし、総辞職へ導いたとされるが、それも真実かどうか定かではない。
75年が経った後、彼女は彼女を単なる兵器としてしか認識していない連合王国を離れ、イベリアに亡命した。新たな大宰相の元でイベリアは、彼女を最低限制御出来ている。一体何か彼女をイベリアに留まらせているのかその一切は不明である一方で、連合王国は自身を裏切った彼女の再確保または排除を目論んでいる。それが成功するのか、そもそも実行に移されるのかどうかは誰にもわからない。
~「中国語わからねぇよ」と言うための漢詩和訳コーナー()~
泰山不要欺毫末(泰山も、高山だからといって、ちいさなものを馬鹿にしてはいけない。)
顏子無心羨老彭(顔回も、短命だからといって、長寿の彭祖を羨むことはない。)
松樹千年終是朽(松の木は千年の寿(よわい)をたもつが、いつかは枯れ朽ちるし、)
槿花一日自為榮(朝顔の花は一日の寿命でも、それはそれでまた栄華だ。)
何須戀世常憂死(人の世を恋いしたって、死を憂い続けるには及ばない、)
亦莫嫌身漫厭生(また、我が身を嫌って、むやみに生を厭うこともない。)
生去死來都是幻(生まれたり死んだりすること、これはすべて幻である、)
幻人哀樂繫何情(幻の中にある人間の哀楽を、何の心にかけるというのか。)