ラッテンバーグは60歳を超えた労働党の党首であり、かつての軍事独裁政権との内戦期には自由同盟に所属し、強い社会主義者として民主主義の復権と労働者階級の解放を目指して戦った人物である。当時の彼は、階級闘争と社会的平等を重視し、労働者の権利を守るための徹底した国家介入を唱え、党内の急進左派を牽引していた。その闘争は厳しいものであり、多くの同志たちと共に独裁体制の崩壊に大きく貢献した。
しかし、ウルグアイ合衆国が正式に発足してわずか3ヶ月という新しい政治環境の中で、ラッテンバーグは党首としての立場を引き受けたことで、かつての理想主義から現実主義への大きな転換を迫られている。党内には急進派から穏健派まで多様な意見が混在し、さらに若手中堅のブラウダーを中心に新世代の声も強まっている。ラッテンバーグは、労働党を分裂から守り、強固な政権対抗勢力としてまとめ上げるために、社会主義的理念を維持しつつも、時に妥協を重ねる調整役としての責務を負っている。
加えて、長年の激務と加齢による身体的不調も彼の行動を制約しているものの、それでもなお政治の最前線に立ち続ける姿勢は党内外からの信頼を集めている。彼の存在は、理想と現実のはざまで揺れる労働党において精神的支柱となり、民主主義の守護者としての誇りを体現している。
ラッテンバーグの政治手法は、過去の戦いで培った確固たる社会主義的価値観と、今の政治状況に即した現実的な政策調整能力が融合したものだ。彼は党内の対立を乗り越えるため、若手との対話を重視し、自由党のオルドーニェスとの秘密交渉にも踏み切るなど、冷静かつ戦略的に行動している。彼の最大の課題は、労働党の社会主義的伝統を守りつつ、混迷する新政権下の政治情勢において実効的な成果を上げることである。
その意味でラッテンバーグは、古い世代の理想を継承しつつも、新時代の政治的リアリズムを体現する複雑な人物であり、労働党の未来を左右する重要なリーダーであると言える。