僕は会議が嫌いだ。何とも言えないピりついた感覚に、圧迫感をもたらす上官の空気。特に他国の部隊との共同作戦ではよりね。
「—――ていうことだ。彼とは仲良くしてもらうよ」
背中を押されて誰もいないパイプ椅子に座りこむ。周りからの視線が痛い。僕がいるブリーフィングルームの中には7:3ぐらいの割合でチェコ軍と財団部隊が入り混じっていた。同僚らはまだしも、チェコ側の視線が痛い。
「質問がある。なぜこの人外と協力しないといけないんだ」
机の向かいに座っていた一人の兵士が声を上げる。
「簡単だ。彼は私たちができないことを平然とやってのける」
「それでも使い理由にならないはずじゃないですか。いたって普通の暗殺任務のはずです。私たちで十分な気が……」
他の兵士らも続々と声を上げる。よっぽど目の敵だった人外と手を組みたくないみたいだ。
「静かに!」
上官の一言でみんなが黙り込む。そして彼はゆっくりと口を開いた。
「よく聞くように。彼は人外であるが、同時に優秀な狙撃手だ。君たちが何を言おうとも、上は彼の能力に目を付けた。上のことは絶対だ。分かったか!」
「「「「イエッサー!」」」
不服そうな声であるが、同時にもやる気に満ちた声が部屋の中に響いた。
△△△
「てことで、彼が君のスポッターのグエン・ヴァン・クアンだ」
「あ、月夜仁です。よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそよろしく」
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