5日、エーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥率いる
南方軍集団の第4装甲軍の第48装甲軍団とSS第2装甲軍団が攻撃を開始。
ティーガーI戦車を装備した装甲部隊を主戦力とする戦法「パンツァーカイル」を導入して
攻撃正面の赤軍防御線の外周部分を突破し、ここでも10km前進することに成功した。
パンターとティーガーが矢じりのような陣形を組みながら、
土煙を上げてソ連軍の防御線に突っ込んでいく。
その戦車部隊を、SdKfz.251とケッチェンに分乗した歩兵たちが後を追いかけていった。
それを見たソ連軍の下士官が即座に命令する。
「目標、前方の車両部隊! 撃ち方始め!」
それを聞いて、対戦車陣地に配置されている対戦車砲が一斉に火を噴いた。
それとほぼ同時に赤軍砲兵による支援砲火が前方に着弾する。
Zis-3が撃つ。 パンターが履帯を抜かれて走行不能になる。
今度はティーガーが撃つ。 Zis-3に命中し、そのまま爆発を起こして吹き飛ぶ。
しばらく撃ち合いを続行けていると、1人の砲手が叫ぶように言った。
「畜生! あんな化け物どうやって倒せばいいんだ!?」
「落ち着け、ティーガーは固いがその分遅い!
しっかり狙いを着ければ装甲を抜ける!」
そう下士官は言ったが、
だからといってそう簡単に抜けるわけもない。
現にティーガーはこちらに車両の正面を向け、
真っすぐソ連軍陣地に向かって突撃してきている。
…だが、じきに隙を見せるだろう。 その時にまとめて―
そう下士官が考えていた時、先ほどの砲手が半狂乱で言った。
「違う! 違うんだ!」
「一体どうしたんだ!? 落ち着け!」
「ティーガーにしては早すぎる!
あの虎、うちのT-34と同じ速さなんだ!」
「…何だって?」
そう言われてもう一度虎を見てみたが、
確かに今までと比べてはるかに速い。
畜生、奴ら一体どんな改造をしたんだ?