ブルムベア突撃戦車とIV号突撃砲の直接支援と
各種榴弾砲による砲撃支援を受けながら、
MP40やKar98kを装備した歩兵がソ連軍陣地に向かって突っ込んでいく。
「奴らが反撃する前に叩くぞ! 急げ!」
この時、ソ連軍は榴弾の雨の下でどうにか配置に付きつつあった。
しかしドイツ軍はそれよりも早く仁地に突入しつつあったのである。
ドイツ軍が陣地の目前に迫ってきたところで、
ZiS-3がようやく発砲を開始した。
4号突撃砲とブルムベアに徹甲弾が命中し、
数量が戦闘不能になる。
対戦車砲
「2時方向にラッチェ・バム!」
「15cm榴弾をぶち込むんだ!急げ!」
ブルムベアに搭載された15cm43式突撃榴弾砲は、
ソ連軍の対戦車陣地に対して凄まじい力を発揮した。
命中しようがしまいが、榴弾の破片は戦車砲にとりついていた
ソ連軍の砲手を殺傷できたのだ。
続いて、ドイツ軍の歩兵部隊が塹壕戦に突入した。
中距離にいたソ連兵はMP40とMP43によって掃討され、
着剣したKar98kとモシン・ナガンを装備した
両軍の兵士は白兵戦に突入する。
だが、それもすぐに終わった。
「突撃砲が来たぞ! 退避しろ!」
MG42を乱射しながら、ドイツ軍の突撃砲が陣地へと突入していった。
まともな対戦車火器を持たないソ連兵たちは
パニック状態になって逃げだしていっている。
「おい、一歩も退くな! 撃ち殺す―」
トカレフを振りかざしながら政治将校がそう叫んでいたが、
言い終わる前に榴弾によって木端微塵に消し飛ばされた。
この日、オリホヴァートカ方面においてドイツ軍は11km前進し1日目を終えた。
通報 ...
5日、エーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥率いる
南方軍集団の第4装甲軍の第48装甲軍団とSS第2装甲軍団が攻撃を開始。
ティーガーI戦車を装備した装甲部隊を主戦力とする戦法「パンツァーカイル」を導入して
攻撃正面の赤軍防御線の外周部分を突破し、ここでも10km前進することに成功した。
パンターとティーガーが矢じりのような陣形を組みながら、
土煙を上げてソ連軍の防御線に突っ込んでいく。
その戦車部隊を、SdKfz.251とケッチェンに分乗した歩兵たちが後を追いかけていった。
それを見たソ連軍の下士官が即座に命令する。
「目標、前方の車両部隊! 撃ち方始め!」
それを聞いて、対戦車陣地に配置されている対戦車砲が一斉に火を噴いた。
それとほぼ同時に赤軍砲兵による支援砲火が前方に着弾する。
Zis-3が撃つ。 パンターが履帯を抜かれて走行不能になる。
今度はティーガーが撃つ。 Zis-3に命中し、そのまま爆発を起こして吹き飛ぶ。
しばらく撃ち合いを続行けていると、1人の砲手が叫ぶように言った。
「畜生! あんな化け物どうやって倒せばいいんだ!?」
「落ち着け、ティーガーは固いがその分遅い!
しっかり狙いを着ければ装甲を抜ける!」
そう下士官は言ったが、
だからといってそう簡単に抜けるわけもない。
現にティーガーはこちらに車両の正面を向け、
真っすぐソ連軍陣地に向かって突撃してきている。
…だが、じきに隙を見せるだろう。 その時にまとめて―
そう下士官が考えていた時、先ほどの砲手が半狂乱で言った。
「違う! 違うんだ!」
「一体どうしたんだ!? 落ち着け!」
「ティーガーにしては早すぎる!
あの虎、うちのT-34と同じ速さなんだ!」
「…何だって?」
そう言われてもう一度虎を見てみたが、
確かに今までと比べてはるかに速い。
畜生、奴ら一体どんな改造をしたんだ?
「10時方向に対戦車砲 ! 急げクルツ!」
「了解! 撃て!」
それを聞いて、、砲手が88mm砲をソ連軍めがけて撃ち込んだ。
また1門Zisをやったな。
そう思いながら、操縦手は配備されたばかりの新鋭戦車を軽々と扱っていた。
…全く、ポルシェもすごい車両を作りやがる。
見た目は今までと変わらないのに、こんなに早く動くなんてな。
VK4501(P)、通称ポルシェティーガー。
電気駆動によって中戦車と変わらない機動力を有した重戦車であり、
後世の歴史家から「早すぎた主力戦車」とまで呼ばれた車両である。
「9時方向にPAK,弾種榴弾! 撃て!」
そう言うたびに一斉に対戦車砲が吹き飛んでいく。
そのま、ま矢じりはソ連軍陣地へと突き刺さっていった。
6日には赤軍も第2戦車軍に第19戦車軍団ら増援を加えて反撃し、大規模な戦車戦が勃発。
ポルシェティーガー戦車の威力は絶大で、赤軍先鋒の第107戦車旅団は
わずか数分で戦車50両中46両を喪い後退した。
「前方にT-34! 一体何両いるんだよ!?」
「黙れ! いいから撃ち続けるんだ!」
次の瞬間、88mm砲が一斉に咆哮し前方のKV-1やT-34/76がまとめて爆発した。
ソ連軍の1個旅団がたちまちスクラップになっていき、
焼け焦げた車体と吹き飛んだ砲塔が辺りに散らばっていく。
「まるでびっくり箱だな。凄い光景だ」
「前方にKV! 撃て!」
バルバロッサ作戦の時はあれほど強かったKV重戦車が、
いまや一発で無力化できるほど弱体化していた。
88mmが命中し、弾薬庫に誘爆し、砲塔が吹き飛ぶ。
もしもこの光景を1941年に見たとしても、
とても信じられなかっただろう。
そう思いながら、装填手は再び徹甲弾を装填した。
7日未明には、攻撃の主軸をオボヤンとプロホロフカ方面に指向したため、
ソ連軍はその方面の前線を受け持つ第6親衛軍と第1戦車軍に、
待機させていた方面軍予備兵力の投入を開始した。
同日にドイツ軍は攻撃の主軸を鉄道線上のポヌイリ市に変更して攻撃を再開。
第18装甲師団の支援を受けた2個歩兵師団が「第二のヴェルダン」と呼ばれる激戦を繰り広げ、
8日夜には市の大半を占領する事となる。
続く…