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『NEWS映像』
欧州ネットNEWS 海洋貿易路で大型船団襲撃 死者多数
『本日午前6時、セネガル付近の公海上にて、3隻の支援物資を積載した輸送船が不明戦力による攻撃を受け、2隻が完全に沈没、1隻が大破。護衛のフリゲート艦2隻も損傷を受けたとのことです』
『軍広報部は「不審な潜水艦による攻撃の可能性が高い」と発表、正体不明の艦艇が軍製の魚雷を組み合わせた精密攻撃を行ったとしています』
『現在、複数の関係国が合同で調査に乗り出しており、攻撃を行った潜水艦の所属・意図については「調査中」とのことです』
映像:炎上する輸送船
『専門家は「少なくとも辺境のテロリストに用意することの出来る規模を超えている。第三国による計画的攻撃の可能性もある」と指摘。情勢の不安定化を懸念する声も』
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その報道を、アルフレート・アーデルベルクは艦内の通信室にある小型モニター越しに無言で眺めていた。
「どこの国の潜水艦か、だと?」
副長が皮肉げに笑う。
「まあ、わかるわけがない。アルケーは文字通り''存在しない艦''だからな」
艦長はそれに答えず、ただ静かにモニターのスイッチを切った。
「補給品目と作戦記録を暗号化して送信。次の命令が来るまでは、深海層で潜伏待機だ」
「了解。やはり、この程度で終わりませんかね?」
「終わるものか。この戦いはまだ始まったばかりだ」
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