「いや違うんだよ、さっき飛んできた飛行機の事だ!」
「飛行機? 確かにチェコ空軍の機体だったがな…」
「見たほうが早い! ほら、とにかくこれを見ろ!」
「全く、そんなことで驚く… な…」
そう言ってこの同僚が見せてくれたチェコ軍の広報紙を見て、
彼は絶句すると当時に先ほど飛び去って行った
機体の事をようやく思い出した。
…第8航空師団第28教導戦闘飛行隊ノーイースター、
チェコ最高の練度を誇る航空隊の一つ。
「リーダー機と飛行する最高練度の4機」との
キャプションを付けられて写っていたその機体は、
先ほど見た物と全く同じものだった。
一方その頃、ラトカ・マトウショヴァーは
チェコ陸軍のジープに押し込められて
研究所まで全速力で運ばれて行き、
その建物の一室へと放り出されていた。
最初は訳が分からなくて目を白黒させていたが、
目の前に見知った顔があることに気づくと
彼女は途端に落ちついた。
「あ、マルツェル・クバーセクさん。
久しぶりですね」
「やあ、ラトカ君。
早速だが、君にとって残念なお知らせがある」
「…え?」
予期せぬ言葉を聞いて、
額から冷や汗が出てくる。
「君を打ち負かしに来た」
「ど、どうして…」
混乱している彼女を気にしないのかのように、
彼は涼しい顔でしゃべり続ける。
「はっきり言って、私の判断は間違いだった。
君が墜落するか実務を始める前に、
絶対に飛ぶのを阻止しなきゃならない」
「で、でも、私は…」
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