数分後、先ほどブリーフィングを受けていた
全員が空中に舞い上がっていた。
空は水平線のかなたまで澄み切り、
9つの飛行機雲がその中に綺麗な直線を描いていく。
そんな中、一機の味方から短い通信が入ってきた。
「こちらスコール5、
方向1-7-0、高度3万フィート。状況を開始する」
先導機が敵機を確認したらしい。
レーダーディスプレイにも、
はっきりと1つの光点が表示されている。
「スコール・リーダー了解、最大限引きつけろ。
…始めるぞ」
数秒もせずに、ミサイルが目標をロックしたことを示す
特徴的な電子音がコックピット内に響いた。
敵機はまだ視認できていないが、
既に長距離AAMは敵機を捉えている。
「FOX1!」
ミサイルが発射された次の瞬間、
既に敵機は高速で反対の方向へと飛び立っていった。
あらかじめ逃げておくとは勘のいい奴だ。
…ま、ただ単に臆病者の可能性もあるが。
「スコール・リーダーよりエレメント・ツーへ、
高度2万フィートまで急降下しろ」
敵の行動に合わせ、続けて指示を出していく。
編隊の中から4機が低空へと急降下していく。
正面の4機が敵機を引き付けている間に、
残りの4機で両方から叩く。
チェスのように確実に追い詰めていき、
いつものように完璧な勝利を手にして、
滑走路へと全機揃って凱旋する。いつもの事だ。
そう思いながら、敵機が網にかかるのをひたすら待つ。
そうなったらどこかのタイミングで飛び込んで、
後ろからミサイルを突っ込ませればいい。
しばらくすると、レーダー上で1つの光点が無茶苦茶に動き始めた。
どう見ても航空機の動き方ではない。
まさかとは思うが― 故障か?
そう考えた時だった。
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