「あの機体は視界外戦闘にはめっきり向いてないし、
何しろあんなもんを操縦できる奴なんて片手で数えられるほどしかいない。
その事を伝えれば、上もとっとと試験を止めるだろうさ」
「…本当か?」
「こっちもエースパイロットだ。
信憑性は保障する」
それを聞いて、彼はこう言いながら研究所へと駆け出していった。
「ありがとう! 感謝する!」
…ふと上を見ると、
チェコ航空の旅客機が
上空に飛行機雲を走らせながら飛んでいた。
その光景を見ながら、一言ぽつりと呟く。
「元帥に頼まれたとはいえ、
わざわざ出向いて来た結果がコレか。
全く、酷い歓迎だったな…。」
エピローグ:報告書 2025/4/17
数か月にわたる試験の結果、
この機体は視界外戦闘においてはほとんど役に立たないと判明。
結果としてこれを最高機密扱いの技術実証機とし、
カンボジア内の航空基地へと移送する事とする。
また、これに関してパイロットのラトカ・マトウショヴァーは
機密保持の契約及びBISによる一時的な監視を行い
カバーストーリーによる隠ぺい工作も並行して行う事。
- ミラン・ヴォカール
付記:
リボル・シミーチェクは今回の研究に関する責任を取り、
降格及び左遷を行う事とする。
またチェコ保安・情報庁から彼の個人的なスケジュールに
関する書類の提出を求められ、これを了承した。
この事案に関しても直ちに機密指定される。
- END -
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