「
「
「クソったれの海南武警どもめ!
ぶっ殺してやる!」
「容疑者が発砲!
繰り返す、容疑者が発砲!
速くこっちに応援を回してくれ!」
「見ろよ、アイツ分隊支援型の突撃銃持ってやがる」
「いいから哨戒ヘリ部隊に支援を要請しろ。
このままじゃ逃げられるぞ」
海南島。
チェコ連邦最大の経済特区にして、
唯一の中国圏に存在している領土。
そんな異質な場所においては、
当然ありとあらゆる出来事が巻き起こっている。
「…次のニュースです。
本日、建設労働者自衛組合理事長である
全海南学生自治会総連合の代表である
海南島における労働者の権利拡大運動について
今後の方針を決める会議を開始―」
「どうしたよ、急に話なんて?」
「匿名の運送サービスを始めようと思ってるんだ。
なかなかいいアイデアだと思わないか?」
「労働環境の見直しを! 労働者の権利拡大を―」
「万寧市での労働者による大規模なデモ活動に対し、
海南武警は治安維持目的での展開を示唆しています」
「これはどう見ても武力による解決ですよ。
平和的な解決をしなければ、
ますます問題は拡大していくでしょう」
労働者は表にも裏にも存在する。
サラリーマンから密輸業者まで、
資本主義社会は歯車のように回り続ける。
通報 ...
「クソォ、あと5分で上がりだってのに。
どうしたって強盗犯なんて相手する羽目に
なるんだよぉ…」
「おいおい、何言ってんだよ。
こんな自由を押し込んだようなところで勤務する方がバカだぜ」
「海南警察によるデータによると、
犯罪に使用させる銃器の割合は
チェコ軍の流出品から
民間会社による安価な物へと徐々に変わっており―」
「海南特区における犯罪者の重武装化は、
今や無視できないものになりつつある。
海南武警の重武装を早急に行うべきだと私は思うよ」
「畜生! よりによって試射で暴発しやがって!」
「はぁ!? おいおいおい、
どうしてそんな粗悪品買ったんだよ!?」
「100ドルの強盗をする為だけに
500ドルもする銃を買うと思うか!?」
もちろん、労働者がいれば犯罪という名の労働を行う者もいる。
二束三文の値段で買いたたかれるサタデーナイト・スペシャルから
莫大な現金を輸送する護衛付きの輸送車襲撃まで、
それによって動く金額はピンキリだが。
「次のニュースです。
チェコ航空はヨーロッパ向け路線の拡大を計画―」
「シュコダ社のコディアック新型モデル、ついに発売。
密林でも運用できるパワフルな製品です」
「…本日の最新情報によると、
プラガ社の株価は先月と比較して5%上昇しました」
企業は日々この地における利権を巡って争っている。
ありとあらゆる最新テクノロジーが研究され、
一週間ごとに家電製品から銃器まで
種類を問わず混合玉石な企業から新商品が発売され、
株価チャートは凄まじい勢いで変貌する。
この街は一睡も眠ることは無い。
「ああクソ、もう軽機の弾丸が切れやがった!
こうなったらぶっ殺せるだけぶっ殺してやる!」
「容疑者は依然として発砲中!」
「牽制するぞ! あそこの遮蔽物まで前進する!」
「片手で短機関銃ぶっ放せる相手に勝てるかよ!?
しかも軍用銃だぜ!?」
「こっちも軍用だろうが! 行け!」
その時、犯人は不幸なことに上空を
ゆっくりと飛行している海南武警のヘリに気づいていなかった。
空中に不気味に静止しながら、
搭載している14.5mm対物狙撃銃の狙いを定めている。
「…本部から発砲許可が出た。
無力化させていいぞ」
「了解」
次の瞬間、対物狙撃銃が辺りへと乾いた銃撃音を
響かせながら一発だけ発砲した。
直後、犯人が乱射していた軽機関銃が
それを持っていた右手ごと地面に吹っ飛んでいく。
「お、俺の手が! 手がぁ!」犯人に告ぐー 直ちに武器を捨て投降せよ! 」
悲鳴を上げながら右手首を抑えている犯人に対し、
海南武警の隊員たちが無慈悲にも銃を向けながら
この島において最も多用されているであろう
単語を形式的に言い放つ。
「
こうして一つの出来事が終わり、そしてまた―
海口市の一角にある一棟のビルで、
再び一つの出来事が新たに起ころうとしていた。
「昨日BISから送られてきたデータなんですが…
どうやら、事態は一刻を争うようです」
「…何? ここの政府は、一体全体何を考えてやがるんだ?」
→Audi, Vide, Tace/聞け、見よ、黙れ
すき
おお、モルさんに褒められた…
ヤッター()