彼は一呼吸おいて続ける。
「連合王国、イベリア、アルゴン、アンデシア―
わがチェコ・インドシナ連邦ですらその対象に入っています」
「馬鹿な… あんなちっぽけな島が
独立できるものなのか?」
「経済力ですよ」
「経済力?」
「あそこには数多くの外国資本を始めとする
莫大な経済力があります。
それを元手にすれば、
ミクロネーションの経済大国として
独立国家になることも夢じゃない」
「国家安全保障はどうなんだ?
経済力はあるが、人口は少ないだろう?」
「それも経済力でどうにかできます。
北米には多くの民間軍事会社がありますし、
足りない装備は海南で買い与えればいい。」
「これも私の考えにすぎませんが…
我々が阻止しなければ、
海南島経済特区は独立戦争をおっぱじめるでしょうえ」
「独立? ここはチェコの植民地ではないんだぞ」
「彼の頭の中ではそうなっているんでしょう。
…まあ、一種のノイローゼですよ。
かわいそうな奴です」
そこまで聞いた後、
ハニーズディル局長はしばらく考え込んでいた。
大体5分ぐらい経っただろうか。
「…海南島はチェコにとって生命線だ。
欧米の影響圏や我が国の首都にも近いし、
それに莫大な資金をチェコ本国に
転がり込ませてくれる。
ここを失うことは我々にとって大きな痛手だ。
本国に海南島周辺の軍備を増強するように
伝えたほうが良さそうだろう」
「了解です。チェコ政府にそう伝えてきます」
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