「よいしょっと」
そんなことを思っていると、
いつの間にか彼女は車両に乗り込んでいた。
全く、すばしっこい奴だ…
「おい、トンプソン! イチャついてないで早く乗れよ!」
遠くからヤジが飛んできた。
その方向を見ると、トラックの運転席から
知り合いの武警であるオレクサンドルが顔を出していた。
「ああ、今行くよ…」
そう言いながら、トラックの後部座席に乗り込もうとする。
上空を2機の哨戒ヘリが飛んでいった。
現場は既に戦闘状態に入っていた。
装輪装甲車が建物の窓を片っ端から撃ちまくり、
道のど真ん中では一台のトラックが炎上している。
そんな危険地帯の中を、多脚戦車の後ろに張り付きながら
ゆっくりと確実に前進していく。
「阻止砲火を貼り続けろ!
奴らを建物から出すんじゃない!」
「うわぁ、凄い事になってる…」
「何言ってんだ。向こうも同じようなも」
…言い終わらないうちに銃弾が頭の上を掠めた。
「阻止砲火!」
「分かってる!」
彼女がそれを言い終わらないうちに、
7.62mmガトリングが短く回転した。
窓ガラスを一列まとめて粉砕し、
撃たれた一人のギャングが倒れて
看板に激突しつつ地面へと 落下していく。
それを見て流石の敵さんも恐れをなしたのか、
途端に発砲が止まった。
「いいぞ! 前進しろ!」
その瞬間、全員で一気に斜線が通らない場所まで移動する。
そこには先に来ていた武警達が固まっていた。
「お、ようやく来たか。戦力は?
「多脚戦車が1台と武警が二個分隊!」
こちらの指揮官がそう回答したが、
正直増援は必要のないように思えるほどの
戦力がすでに展開している。
ざっと三個分隊はいるだろうか?
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